かき氷を作る朝 haru.×野崎浩貴【前編】
月曜、朝のさかだち
『月曜、朝のさかだち』第14回目は映像監督“も”やられている野崎浩貴さんをゲストにお迎えし、かき氷を作りました。前日から準備しておいた凍らせたジュースやミルクをふわふわになるかき氷機で削ったり、削り氷にブルーハワイシロップをかけたスタンダードなかき氷を作ったりと、夏休みのような時間を過ごした二人。朝活を終えた二人は、野崎さんがよく行くという動物園での動物との関わり方や、友達との関わり方についてお話したり、今年6月に発行された絵本『ありくい』についてたっぷりとお話しいただきました。
朝かき氷はイヤでも幸せになれる方法
haru._今回は映像監督もやられている野崎浩貴さんをゲストにお招きしております。野崎くんとは、かき氷を作ってみるという朝活をやってみました。どうでしたか?
野崎浩貴(以下:野崎)_僕はアイスとか冷たいものが大好きだから、朝からかき氷を食べられて幸せな気持ちになっちゃった。
haru._でも、みんなが想像しているかき氷機とはもしかしたらちょっと違ってるかもしれないね。
野崎_ふわふわのかき氷が作れるかき氷マシーンだったもんね。
haru._私がかき氷を最後に作ったのはたぶん10年くらい前。
野崎_まだ首が座ってないときだね。
haru._大学生のとき(笑)。そのときはまだ某キャラクターの横に取っ手がついてて、ハンドルを回すタイプのかき氷機で作ってたから、今日のやつはスイッチを入れると電動で作れるやつで、しかもつまみの調整で氷の粗さを調整できるような機械だったんですよ。
野崎_だからいろんなバリエーションのかき氷を作れたね。
haru._そうそう!それで野崎くんと一緒に店をやりたいよねって話してた(笑)。昔の家庭用のかき氷機だったらそこまで飛躍しないけど、これならいける!って気持ちになっちゃった(笑)。
野崎_でも本当に、こんなふわふわのかき氷がお家で食べれるんだ!って思った。
haru._私も新大久保でああいうの食べたことある。
野崎_じゃあ今このオフィスが新大久保になっちゃったってことか。
haru._そうなんですよ。今後も野崎くんとこっそりとかき氷屋さんをやるかもしれません。
野崎_どんな組み合わせが合うのか、今日試してみていろいろわかったしね。
haru._すごくおもしろかった!ミルクを凍らせたものをベースにしたかき氷を最初に作って食べたんだけど、それが本当に美味しかった。凍らせると味が感じづらくなるから、めっちゃ濃いぐらいがちょうどいい。
野崎_原液くらいのものがちょうどいいよね。
haru._100%フルーツジュースみたいなのは味がすごく薄かったね。
野崎_あれは30%ジュースになってたね。だから今後作るにあたっては、分離しない濃いめのもので作るか、普通の氷でかき氷を作って、上から濃いめのシロップをかけてあげないと、満足感がないね。
haru._むしろ練乳を凍らせてちょうどいいくらいなのかも。
野崎_今日はやってないけど、それは間違いないと思う。あといちごミルクの原液を凍らせたやつも美味しかったね。
haru._美味しかったですね。なので私たちがもしかき氷屋さんを始めたら、ぜひ皆さんも食べにきてください。
野崎_あと、朝からかき氷を食べると、朝からお祭りに行った気分になれて、ちょっと幸せな気持ちになれるから、早起きしてかき氷食べて出勤するのもいいかもしれない。その時間寝たいって思うかもしれないけど、朝からいやでもたぶん幸せな気持ちになれるよ。僕は普段朝早い仕事じゃない限り、朝から活動することがないからね。
動物にも友達にも会えるうちに会っておきたい
haru._野崎くんと初めて会ったときのことを思い出せないんだけど、一緒に動物園行ったよね。しかも知らない人をいっぱい引き連れて、初めまして同士の人もいるなかで、野崎くんは自然と動物園でみんなと仲良くなっていくの。カフェに初めましての人と集まって何かを話すとかではなくて、みんなで動物園に行って、好き勝手動物を見ているうちに打ち解けているみたいな会を主催してる。
野崎_お見合い会をやってるわけじゃないんだけどね。
haru._野崎くんは普段からそういうのをやっていて、そこに私がたまについていくと、その時々によってメンバーが違ったりする。
野崎_一人で行くことが一番多いけど、何人かで行くことも多い。しかもいつもの仲良しメンバーってわけじゃなくて、意外と初めましての人もいたりするからね。
haru._野崎くんも、最近出会ったみたいな人もよくいるよね?
野崎_動物園とかだと、それぞれの見たい動物を拝むことができるからね。
haru._初めましての出会いをこういうふうに作れるんだっていうのは、普段の野崎くんからも私はすごく影響を受けてると思う。野崎くんは、関係性の作り方のバリエーションの一つとして、こういう方法もいいんだ!っていうのを作っている人。
野崎_嬉しい。「動物園や、生き物がいる場所に最近行った?」って聞くと、意外と「大人になってから行ってない」っていう人が多いんだよね。僕は映画も好きだから、映画をあまり見ない人と映画館に一緒に行くのが元々好きだった。
haru._確かに野崎くんと映画にもよく行ってた。
野崎_だから動物園もあまり行ってないって言う人には、大人になってから行くと、視点も違うし、いろんな気づきや学びがあるから誘ったりするんだけど、チャラい人にも見えちゃうかもしれないよね。
haru._チャラいって思ったことない(笑)。野崎くんはどのくらいの頻度で動物園に行ってますか?
野崎_これを言うとどれだけ仕事してないかがバレちゃうんだけど、月に最低10回以上は行くって決めてるから、10回より下になることはない。いろんな都合をつけてでも10回は絶対に行くようにしてる。月の前半に仕事をやるか、仕事が重なっちゃったりしたら、少ない日にちでハシゴしたりする。
haru._年パスも持ってるんだっけ?
野崎_もちろん持ってるよ。よく行くところは数箇所で、都内の家から近いところや行きやすいところ。でもいつも同じところじゃなくて、いろいろ行くよ。
haru._動物たちの調子を見にいくの?
野崎_そうそう。元気かなって。僕は大学卒業したぐらいからずっと行ってるから、お別れが来ちゃったりする。だから会えるうちに会っとかないとっていうのがある。
haru._野崎くんと数年間、毎年ナイトズーに一緒に行ってたよね。
野崎_日本平動物園*①のね。
haru._それで同じ場所で写真を撮るみたいなことを3年続けてやった気がする。野崎くんが毎回同じ服装じゃんってなったんだよね。
野崎_ナイトズーまた行こうね。
haru._ナイトズーまた行こうね。 そもそも野崎くんが動物園に通うようになったのはなんでなんですか?
野崎_僕が大学を卒業したのが2011年で、就職活動もしてたけど、行きたかったところにも入れず、就職が決まらずに卒業しちゃって。どうしようと思って、当時はお金もないから夕方になるまで多摩川でずっとチャリンコを漕いでたの。サイクリングも楽しいんだけど、ずっとやってると不安になるじゃない。どうしようかなと思ってたら、大学院に行った友達が井の頭自然文化園*②の年パスを持ってて、「年パスも安いし、本を読むときはそこで読んでるよ」って言ってて。僕は高校が三鷹の方だったから近かったけど、あまり行ったことないなと思って行ってみたの。もう今は亡くなっちゃったけど、当時ははな子さんっていうアジアゾウがまだいて。そういうはな子さんだったり、いろんな動物を見てたら、今までにも動物園って行ったことあるけど、動物を個体で見たことって意外となかったなって気づいたんだよね。
そこから動物を個体で見るようになったら、当たり前だけどいろんな性格の動物がいて、いろんな動き方をしていたりと、それぞれの違いを発見するようになって。あの子元気かな?と思って一回行くと、また元気かどうか見に行きたくなって年パスを買ったの。それから、行きつけの喫茶店にいる常連さんみたいな、同じ空間にいるけど別に話すわけじゃない、だけど僕は元気かどうか安否確認しに行く感じで行き始めて。そうすると他の動物園も気になってきて、小さい頃によく行ってた多摩動物公園*③に行くようになった。そこにはボルネオオランウータンのジプシーおばあちゃんが当時は存命で、そのジプシーおばあちゃんのファミリーを見てたらまた会いに行くようになって…。そうやって行く場所が増えて、行く回数も増えてっていう感じ。
haru._野崎くんと動物園に行くと、毎回「あの子が〇〇さん」って教えてくれてた。私も大学の隣に動物園があったからたまに行ってたけど、個体で見るっていうことをしてなかったなと思ったの。だから野崎くんを通して一体一体の人生含めて、野崎くんが隣で話してくれていたから、そういう視点で動物を見るっていう体験は本当に新鮮だった。
野崎_よかった。動物園に行くようになった後にサラリーマンにもなったんだけど、週末に動物園に行ったり、有給を取って結構な頻度で行ってたかな。
haru._親戚みたいな、誰かに会いに行く感じなんだね。向こうが野崎くんを認識してるかもしれないって思ったことはある?
野崎_もちろん、何回行っても知られてないってこともいっぱいあるけど、それこそ多摩動物公園のキューさんや、よこはま動物園ズーラシア*④のロビンくんっていうボルネオオランウータンは常連さんや気になる人とかが来ると、ガラス越しに近づいてきて人間観察してる。いつも来るやつだなってたぶん思ってるんだね。
haru._野崎くんって友達を動物園に連れて行ったりするけど、人の関係性と、動物に会いに行くことって似てるものなんですか?野崎くんは人も好きなんだろうなって私は思ってるけど。
野崎_野生動物と出会えたら一期一会だと思っていて、毎回会うことって難しいじゃない。だけど動物園の動物とはコンスタントに会うことができる。それと同じように、友達だったら一期一会ではなくて、コンスタントに会えるし、生き物いずれ死んじゃうから会えるうちに会いたいっていうのはある。サラリーマンをやる前は全然お金がなかったから、遊びの誘いを断ることも多かったんだよね。だから今は基本遊びに誘ってもらったら行くようにしてるし、自分から誘うことも多い。でも自分がやりたいことと言ったら、映画を観に行くか、サイクリングするか、動物園に行くかなんだよね。それがあって友達と動物園に行くことが増えた。
haru._私自身も野崎くんの動物への視点みたいなものの延長線上にいる気がしていて。社会に出るといろんな肩書きやその人の仕事や性別、容姿なんかをみんな一瞬でジャッジしたり、掴み取ったりして、それを踏まえた上でどう接するのかを考えているんだと思うの。だけど野崎くんの人への接し方や、かけてくれる言葉ってすごくフラットに感じる。ただ自分でいれるような、子どもに戻ったみたいな感じ。それがすごく居心地良くて、野崎くんと動物園に行くとみんな多分そんな感じになる。みんなフラフラ歩いて、子どもに戻っているみたいで、その光景が毎回すごく好きだなって思う。
野崎_みんなも優しいんじゃない?僕が誘ったら来てくれるんだもん。
haru._優しい繋がりかもしれない。
野崎_優しいよ。だって僕って別にすごくお金を持ってる人でもないんだから(笑)。向こうも僕を肩書きで見てるわけじゃないじゃん。
haru._鏡だよね。
野崎_利害関係をゼロにすることはないし、好きな人と一緒にいるのって僕にとっては利益だから。だけどそこに物的な利害関係はなくて。この人といたら仕事に繋がるからとかそういうのじゃない。僕の友達ってほぼみんな遊びの場で出会ってるからね。
haru._そうだよね。私も野崎くんと出会ってからもう8年とか経つし。
野崎_だってまだ首座ってなかったんだもん。名前は何にされたんですか?って聞いたら「haru.です」って言ってた。
haru._そういう状態からだったので(笑)。
野崎_本当にharu.ちゃんが赤ちゃんの頃から僕は見てたんじゃないかって思われちゃう。嘘だよ?
子どもって結構世の中のことを分かってる
haru._野崎くんは最近絵本も出されましたよね。『ありくい』*⑤というタイトル。
野崎_絵は趣味で描いてるだけで、初めて絵本を描いたんだよね。たまに絵を描いてほしいって言ってもらえることがあって、描いたりはしてたんだけど。
haru._じゃあ今回も誘いを受けて絵本を描いたって感じなの?
野崎_そう。TANG DENG*⑥ってところから出してるんだけど、元々は大河原健太郎*⑦くんっていう絵を描いてるお友達がこの出版社から昔話絵本シリーズを出していたの。そのシリーズが終わったのもあって、次は生き物の絵本を出すことになって僕に声をかけてくれたんだよね。この世にいる生き物をリアルな姿で擬人化するのも違うなと思って、この世ではない、別の世界のありくいのお話にした。
haru._ありくいさんが主人公で、いろんなものになるんですよね。
野崎_いろんな仕事をしてるんだよね。一つの仕事じゃ食っていけないっていうのは、今の僕なのかもしれない(笑)
haru._これは野崎くんなのかもしれないのか。野崎くんを紹介するときに、この番組でも「映像監督“も”している」って紹介してるけど、なぜなら野崎くんはいろんなお仕事をしてるからなんです。
野崎_僕がたぶん決まった仕事をガッツリやれてないっていうのもあるかもしれないけど。
haru._私も同じだから。下着作ったりしてるし。
野崎_そうだね。僕以上にたくさんのことやってる。
haru._私は野崎くん以上にこのありくいさんかもしれない(笑)。絵本を作るうえで、生き物っていうモチーフは決まっていたの?
野崎_生き物っていうモチーフはあったけど、リアルとは違うありくいのビジュアルにしてる。でも一応ありくいっていう名前はついてるから、最後のページにこの世界にいる本物のありくいの写真をよこはま動物園ズーラシアから許諾を得て載せてるの。だけど本編は太陽みたいなオレンジ色のありくいにしてる。
haru._野崎くんの絵はすごく色使いが綺麗。言葉で説明するのはすごく難しいから見てほしいんですけど、絶妙な水彩絵の具のグラデーションが活きてるよね。
野崎_そんなこと言ってくれて嬉しい。ありくいはちょっと目立つ色にしようと思って、オレンジと黄色を混ぜた色にしてる。基本的に色はその場その場で考えてる。てか塗り塗りしてるだけだけど。
haru._私はこの夜の色がすごく好き。すごく素敵な絵本なので読んでほしい。映像を作るときと絵本を作るときって全然違う表現じゃないですか。野崎くんにとって作るうえでの大きな違いってなんですか?
野崎_まだそんなに自分が監督をした映像作品って多くないんだけど、監督をする時は脚本も自分で書くの。絵本もまずお話を最初に作るから、脚本を書くのと気持ちは変わらなかった。でも、話すスピードや、言いやすさみたいなものは脚本を書くときより意識してるかもね。語呂の良さとか。「今日はいい天気の日曜日」とか「お待たせ、みなさんこんにちは」とか、リズミカルでスーッと言えるようになってるかな。でも実を言うと、最初に文字を全部考えたんだけど、一部逆にして絵を先行して描いて、文字を作った場所もある。例えば最初に公園で遊んでるシーンがあるんだけど、当初は滑り台を滑ったり、ブランコをしてたりする姿を描いたんだけど、あまりいい絵にならなくて変えたんだよね。
haru._絵本って教育を目的としてる部分もあるじゃないですか。
野崎_それで言うと僕のは全くないよ。あえて道徳的な要素ゼロにしちゃった。親が読んで泣ける絵本とかあったらいいと思うけど、僕はそういうのを作りたいとは思わないから。瞬間瞬間で面白がってくれたらいいなって思ってる。
haru._でも私はこの絵本の中でありくいさんがいろんな職業をしていて、夜はオーケストラの指揮者をしてるシーンで、遅刻しちゃって音楽隊も待ちくたびれて、お客さんから冷たい目で見られてる描写にドキドキしちゃった(笑)。
野崎_友達の子どもが読んだときに、最初はすごく興味深く見ていたけど、途中ちょっと怖そうな顔をしてたって聞いて、そういうのも聞けてよかった。
haru._ちょっと怖いっていうところも野崎くんの特徴だと思う。残酷さをポップに描いてる感じがある。音楽隊がいなくなって、客席から大クレームを浴びていたり。
野崎_それだけ聴いたら結構しんどいね。でもこのありくいさんは生きるのに苦労してるよ。
haru._いろんな職業をやって楽しいだけじゃなくて、いろいろ掛け持ちしてるが故のトラブルが絶妙にリアルに描かれていて、読んでてヒヤッとしたところもあった。
野崎_よかった。自分が小さい頃に読んだ容赦ない描写とかがすごく記憶に残ってるから、そこは意識したかも。変に大人が子ども目線にすると、それは子どもに伝わっちゃうからね。子どもって結構世の中のことわかってるじゃない。だから変に可愛すぎないようにしちゃったかも。
haru._確かに子どもの頃を振り返ると、偽善ぶったことばっかり言ってる大人とか、「子どもは純粋で可愛いね」って言ってくる大人のことをすごく不審に思ってた記憶がある。グリム童話とかに私が魅了されてたのは、やっぱりちょっと残酷な物語だったからなのかも。
野崎_グリム童話って意外と救いない話とかも多いもんね。だから「よちよち」って扱われると冷めたもんね。
haru._冷めてたと思う。でもその冷めてた記憶って大人になったら結構忘れがち。
野崎_子どもにも大人と対等なことをちゃんと言ってあげた方がいいと思う。子どもにあからさまな嘘をつく人もいるじゃない。それバレてるからね。子どもは結構現実を見てるし、しっかり感じてるよね。
「変なおじさんいたな」って思われたい
haru._野崎くんは普段子どもと接することってある?
野崎_友達が子どもいたりするからね。たまにその家のお父さんがいないときに、僕と子どもとお母さんで遊ぶときがあるんだけど、そうすると写真撮るときに「お父さんもせっかくだから入ってください!」って言われることがあるの。そのときに「違います」って言うと余計複雑な家庭になっちゃうでしょ。だからそのときはお父さんになりきるんだけど、側から見るといろんな家庭のお父さんやってる人みたいに見えちゃうかも。
haru._お父さん役のプロみたいになってる(笑)。
野崎_でも嬉しいよ。だって育児の大変なところをあまり知らずに、楽しいところだけ享受できてるから、楽しいよ。あと僕は動物園もそうだけど、妖怪も好きで、動物や妖怪が好きな子どもって多いから、師匠って呼んでくれるの。探究心がある子たちはちゃんと図鑑を読んだりするから、いつかは知識を抜かされちゃうんだけど、今はまだ僕の方が知ってて、色々質問してくれるから、舐められないんだよね。
haru._子どもに舐められる大人もいるもんね。野崎くんにも師匠的な人は子どもの頃にいたんですか?
野崎_いなかったよ。僕は母子家庭だったし、すごくおばあちゃん子だった。だからいまだにおばあちゃんとかとはすごく話しやすくて、お父さん的な世代の人と話すのはすごく苦手。慣れたら喋れるけど、導入が苦手なんだよね。
haru._自分がお父さん世代に近づいていることに対してはどういう気持ち?
野崎_難しいね。僕は一人っ子で、家は全然お金持ちじゃないけど、甘やかされて育ったのは間違いない気がするんだよね。甘やかされて生きてきてそのまま大人になっちゃってるからあれだけど…。リスペクトは勝手に向こうがしてくれるものだから、こっちから年上だからって威張ったりするのは一番好きじゃない。それだけは絶対やらないようにしてるかも。
haru._野崎くんは友達の子どもたちにとってどんな大人でいたい?
野崎_その子たちが大人になったときに「なんか変なおじさんいたな。あれ誰だったんだろう」って思ってくれたら嬉しい。「お父さんじゃない人と動物園行ったけど、あれ誰だったんだろう」って。でも、今はみんな「野崎くん」って呼んでくれるから変な壁がないのはすごくありがたいかも。年齢が違うから対等ではないし、もし僕が5歳児だよって言ったら結構病院行かないといけなくなるけど、向こうが対等に思ってくれてるのはありがたい。
あと、大人になると変な遠慮が出てくる人もいるけど、あれ絶対やめた方がいいと思う。動物園でも本当は近くで見たいのに、前に行くのを我慢する人いるじゃない。もちろん小さい子優先だけど、空いてて見たかったら別に行けばいい。その気持ちを大事にした方がいい。水風船や鬼ごっこ、かくれんぼとか、こんな歳だしって言うのはよくないね。いまだにやりたいもん。
haru._じゃあもう少し涼しくなったら。
野崎_そこが大人だよ。その気持ちが出たら大人(笑)。
haru._本当にオフィスに来るだけで私はダメなの。最後に野崎くんの好きな絵本を聞きたいです。
野崎_好きな絵本いっぱいあるよ。かこさとし*⑧さんの『だるまちゃん』とか、ふるたたるひ*⑨さんとたばたせいいち*⑩さんの『おしいれのぼうけん』も好きだった。あと、長新太*⑪さんの『キャベツくん』も好きだった。
haru._私は『おさるのジョージ』が大好きだった。
野崎_『おさるのジョージ』も好きだったよ。マグカップ使ってたもん。絵本って一回古典的名作みたいになると何代にも渡って読み続けられるから変わらないよ。『はらぺこあおむし』もそうだし。
haru._野崎くんの『ありくい』もたくさん読まれる作品になってほしい。
野崎_嬉しい。絵本を出して、知らない人たちも買ってくれて、ちびっ子の感想を聞けるのがすごく嬉しかった。
haru._記憶に残ってる感想はありますか?
野崎_読んでる反応を動画で見せてもらったんだけど、アリを食べちゃうシーンで、ちょっと怖かったのか無言になってて、そのリアクションはおもしろかった。本屋さんで展示をやったときは僕も店にいたから、子どものリアクションを見てたんだけど、結構笑ってくれて、「そこで笑うんだ!」って言うのを見れておもしろかった。最後もさらっと終わっちゃうから、「これで終わり?」みたいな顔もしてた。
haru._だからこそループ的に見たくなっちゃうのかも。これからも絵本を作りたいですか?
野崎_そうだね。頻繁には出せないけど、2作目とかは出したいかも。今回は背景が白だから、次は背景をつけたりしたいな。
お二人の対談は後編に続きます。後編では野崎さんが映像監督になる前のサラリーマン時代についてや、野崎さんの撮る映像作品について、そして自分のほぐし方についてお話しいただきました。そちらも楽しみにしていてくださいね。
それでは今週も、行ってらっしゃい。
野崎浩貴 さんに聞きたいコト
視聴者さん、読者さんから集めた「ゲストに聞いてみたいこと」にお答えいただきました。今後も『月曜、朝のさかだち』に遊びに来てくれるゲストのみなさんに聞いてみたいことを募集しているので、ぜひORBIS ISのSNSをチェックしてみてくださいね!
Q.好きな言葉はありますか?
A. 好きな言葉は特にありませんが好きなドーナツはたくさんあります。
Q.野崎さんは幼少期どんな子どもでしたか?
A.外で遊ぶのが好きな子でした(もっぱら鬼ごっこ)
Q.最近の推し動物園や推し動物があれば教えてください
A.推しというのはないですが、よく行くのは多摩動物公園です。
気になっていることは多摩では約50年ぶりに生まれたインドサイの赤ちゃんについてです。
Q.動物園以外によく足を運んだり、注目している場所などはありますか?
A.町中華によく行きます(人気店に行くというよりサイクリング中などに見つけた町中華に入ることがほとんどです)。
注目してる場所は家のまわりにいる地域猫のたまり場です。
Profile
野崎 浩貴
会社員を経て、フリーランスでMVや映画、ドラマなどの映像を制作するディレクター兼脚本家。イラ ストの提供や、たまに自分自身も何らかに出演したり。動物園によく行く。