2021.12.3

一人ひとりの行動の積み重ねが会社のカルチャーを作る。「未来志向×オープンマインド」を醸成した3年間

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JOB&CULTURE

 ORBIS

こんにちは。ブログ担当の土井山です。

オルビスは2018年以降、「ここちを美しく。」をブランドメッセージに掲げ、リブランディングに着手、改革を推進してきました。象徴商品「オルビスユー」のヒットをはじめとした事業成長、そして新たな挑戦の裏側には、社員一人ひとりの意識改革が欠かせません。

長期にわたりオルビスを支える経験豊かなメンバーと、新鮮な発想でオルビスに新しい風を吹き込むメンバーが入り混じる組織で、リブランディングと両輪で進めてきた組織改革の共通言語は「未来志向でオープンマインドなカルチャー」。HRは具体的にどのような役割を担ってきたのでしょうか。

HR統括部部長・岡田悠希さんと、組織戦略グループ グループマネジャー・前田創一朗さんに、具体的な取り組みや、カルチャーの変化について聞きました。

 

目指したのは、呼応し進化を続けるカルチャー

――そもそも組織改革において「未来志向でオープンマインドなカルチャー」を目指した理由は何だったのでしょうか?

岡田さん(以下、岡田)今までの延長線上ではなく、私たちが「こうありたい」という未来の姿に基づいて新しい価値を提供していくためには、役割や立場関係なく未来を志向してチャレンジする「未来志向」と「オープンマインド」な環境が必要でした。

オルビス創業当時から常識に捉われずに本質的な価値を追求するという理念のもと、大手と真逆の戦略をとり成長してきました。たとえば、業界ではいち早くECでの購入体験を提供し、バブル絶頂期で華美なスキンケアが主流だった中で、シンプルなスキンケアを提供したことなどです。

しかしながら、2010年代前半からは、既存のお客様にはご愛顧いただいていたものの、新規のお客様に選ばれるブランドではなくなりつつありました。つまり、いつしか市場におけるブランドプレゼンスが弱まってしまっていたのです。そこでオルビスがこれから提供したい価値は何か、と原点に立ち返った結果、私たちは「スキンケアを中心としたビューティーブランドであること」を事業ドメインに据えました。

ドメインが変わると当然見るべき対象も変わってきます。今までの延長線上ではなく、より市場を意識し、社員が「こうありたい」という未来の姿に基づいて新しい価値を提供していくことが強く求められるため、役割や立場関係なく未来を志向してチャレンジする「未来志向」と「オープンマインド」な環境は必然ともいえるものでした

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出典:"「わたしたちは必要とされていない?」──組織改革への反発。オルビスHR部長は社員にどう応えたのか" サイボウズ式 . 2021年6月15日

 

――前田さんは、当時まだ別の部署にいたと聞いています。組織改革を行うと聞いた時はどう思いましたか?

前田さん(以下、前田):HRに異動する前は、入社時から8年間マーケティング事業部の新規顧客の獲得を担当するグループに在籍していました。当時はHRと事業部が別のミッションを担って進んでいる印象でしたが、ビューティーブランドとして市場の中で存在感を高めることを共通のゴールに据えたとき、250人という少数精鋭でコンパクトな組織だからこその強みを活かしたスタイル、ポテンシャルの引き上げ方は絶対にあると確信していました。決まったPDCAサイクルを回す組織ではなく、新しいチャレンジが生まれやすい自走型の組織づくりのための組織改革が始まるということを聞いたときは、不安は一切なく、とてもわくわくしました。

今後、ブランドプレゼンスを高めることを考えると、未来志向でオープンマインドなカルチャー形成に振り切った方が、目指すポジションを獲得できると思いました。

一人ひとりの行動の蓄積が新たなカルチャーを作る

――HRとしては具体的にどんなことをしたのでしょうか?

岡田:未来志向でオープンマインドなカルチャーを作るためには、社員一人ひとりのマインドセットとその後に取る行動の積み重ねが必要だと、優先的に始めたのがOMS(オルビスマネジャースタイル)でした。OMSとは社員に求める7つの行動指針なのですが、この発揮の頻度を高めることが、新しいカルチャーや風土の形成につながっていくと考えました。

【写真】OMS(オルビスマネジャースタイル)ビジュアル一覧

前田:実は過去にOMSに似たもので「オルビススタイル」という行動指針があったんです。

2014年に意識すべきスタイルとして掲げたのですが、やや抽象度が高く、徐々に形骸化してしまいました。その時の経験も踏まえて、OMSは具体性を高め、行動の中で活用することを前提に作られています。

また、それぞれの業務の中でどう生かせるか、何を選択すべきかを直感的に理解してもらえるように、7つの項目全てに「してほしくない行動」も明文化しました。

岡田:それまでとは違う場所に行くためには、推奨する行動指針とともに、「やらないこと」を決めるのが大事だと思ったんです。

【写真】OMSに基づく「意識してほしい行動」と「意識してほしくない行動」

 

――OMSを浸透させるためにどのような施策を打ったのでしょうか?

前田:HRのポリシーは、オルビスのフィロソフィーである「スマートエイジング®」に基づき「一人ひとりの能力を最大化する」こと。そして、全ては個人の内発的な動機付けと主体性を伴う熱量から始まると考えています。熱量を持ち実践の中で経験を積むことでリーダーシップが生まれ、顕在化された行動で周囲のメンバーも刺激を受け組織風土が変化していく。このサイクルを回していくため「個人」⇒「リーダーシップ」⇒「組織風土」のレイヤーを意識して施策設計をデザインしてきました

【写真】「個人」「リーダーシップ」「組織風土」の経験学習サイクル

たとえば、リーダーシップの発揮において内省と行動の蓄積を促進する施策として「STYLE QUEST(スタイルクエスト)」という仕組みがあります。影響力のあるミドルマネジャー層への浸透に向けて、3か月に1回、「上長(=ミドルマネジャー)は7つの行動指針を発揮できているか」というアンケートを匿名で取り、上長本人に結果をレポートする施策です。メンバーからのOMS軸でのフィードバックによって行動発揮が変われば、組織全体の行動発揮がOMSにつながります。

最初はメンバーから上長に向けた仕組みでしたが、実は数名のメンバーから自らの成長のためにメンバー同士でも活用したいというリクエストをもらいました。21年からはメンバー同士でフィードバックを送り合う施策にも発展しています。

他にも、全社表彰式の評価基準をOMSに置き、スタイルの発揮がオルビスが求める基準であるという啓蒙活動をしています。これらはあくまでも施策の一部ですが、とにかく初期の頃は正解が分からないので四半期ごとに施策を全部変えるなど、あらゆる角度からOMSを実践に紐づけてもらうように浸透させていきました。

当初はOMSの浸透度が過半数に満たないところからのスタートでしたが、今では約8割もの社員がそれぞれの業務の中でOMSを意識してくれています。

在籍10年以上の社員の変化から読み取れること

――OMSの浸透をはじめ、組織改革の手応えを感じ始めたのはいつ頃でしたか?

岡田:「未来志向」の方は2019年頃、比較的早めに手応えを感じられました。毎年行う組織サーベイで未来志向を測る指標がどんどん上がっていったのです。同時に若手が積極的に意見を上げ、承認されて形になる事例がいくつか出てきていました。

「オープンマインド」の方は、部署を超えたシナジーが増えていたものの、なかなか数値として手応えを感じることができず悩んでいました。それが2021年の上期の調査で、ようやくスコアが上がり変化が見えてきました。

前田:中でも伸び悩んでいた在籍10年以上の社員のスコアが、劇的に上がったんです。

 

――リブランディング前から在籍していた社員にとって、組織改革は大きな出来事だったと思います。既存の社員のスコアが上がるというのは嬉しいですね。

前田:はい。実際にHRとして進めていく中で事業と組織を繋いでいくことは想像していた以上に難易度が高いものでしたが、一番良い社員の寄り添い方を模索してきた積み重ねが、ようやく結果として見えてきた瞬間でした。

可能性を最大限に解放してもらう「出番」と「機会」の創出

――今後HRは組織の中でどんな役割を担っていくのでしょうか?

岡田:オルビスが今後もお客様に価値を提供し続けるためには、私たち自身が成長し続ける必要があります。「人のリソースを最大化する」のがHRのミッションなので、社員が持っている力を最大限に解放してもらえるような施策や組織づくりをしていきたいですね。

前田:やはり人は人を通じて成長していくものだと考えています。チームで成果を出していくためにも、個人が自分の強みを自覚しながら行動発揮をして、お互いに刺激を与えてともに成長していく環境を作っていきたい。その過程で社員一人ひとりの可能性を広げられるような「出番」と「機会」をHRとして提供していきたいです。

 

取材・文:都田ミツコ

  ※本記事内容は、公開日(2021年12月3日)時点の情報に基づきます。
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Profile

岡田 悠希(Okada Yuki)

HR統括部部長。2008年ポーラに入社し、トータルビューティ事業本部で九州・首都圏を中心とした店舗マネジメントを経験。その後、現場における組織開発、マネジメント開発を牽引。2018年からオルビスに出向し、HR戦略グループで第二創業期からの組織開発や制度改革を主導する。オルビスが掲げる「スマートエイジング®」の考え方のもと、一人ひとりが自分らしく働ける組織づくりを目指す。

前田 創一朗(Maeda Soichiro)

2011年新卒入社。新規顧客獲得・ブランド領域におけるリーダーとしてブランドコミュニケーション設計・メディアプランニングを経験。「オルビスユー」「オルビス ディフェンセラ」のローンチプロジェクトに携わった後、第二創業期における組織開発に自ら希望を出し異動。組織開発を中心として全社のインナーコミュニケーションを牽引。2020年からはHR統括部 組織戦略グループ グループマネジャーに従事。

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