2024.5.31

アクションが循環していく社会を目指して

PROJECT

SUSTAINABILITY

 ORBIS

オルビスでは、持続可能な環境へのアプローチ(サステナビリティ活動)の一環として様々なアクションに取り組んでいます。そのなかの一つが、今回ご紹介する「リサイクルプログラム」。

お客様から回収したオルビスの使用済みスキンケア容器が、「リサイクルスパチュラ(ヘラ)」に生まれ変わる取り組みです。「リサイクルスパチュラ」は2024年5月頃より、順次お客様のお手元に届き始めています。※

本記事では、容器の回収から始まるアクションの連鎖と、関わる人々の思いをお伝えします。

地球のために、環境のために、そしてこれからの自分たちのために。オルビスとともに一歩踏み出してみませんか。あなたのアクションに繋がるきっかけになれば嬉しいです。

※スパチュラ付属対象商品をご購入、またはご希望があった方へのお渡しとなります。生産数に限りがあるため、種類はお選びいただけません。


リサイクルプログラムとは?

オルビスでは、2023年から「SKINCARE LOUNGE BY ORBIS」にて、オルビスの使用済みスキンケア容器の回収を行っています。

お客様から回収した容器は、以下の工程でスパチュラへと生まれ変わります。

店舗での容器回収後、オルビス社内で再洗浄を行い、工場へ送ります。回収容器以外の端材などを組み合わせて粉砕し、さらに洗浄して乾燥させます。それを溶解し、細長い素材にします。カットしてペレットにしたあと、成型して完成です。

2023年分の取り組みでは、約18,000本のスパチュラを生産することができました。この取り組みの裏側には、オルビス社内と協力工場の様々なアクションがあります。


自分にできることから、一歩踏み出す

リサイクルプログラムの取り組みについて、サステナビリティ推進グループのマネジャーを務める加藤に話を聞きました。サステナビリティ活動の方針を策定し、グループで実行していく役割を担っています。

――この取り組みを始めたきっかけは何だったのでしょうか。

オルビスでは30年以上前から、環境配慮の観点でつめかえ用商品の販売、商品の簡易包装、山梨県を中心とした「甲州市・オルビスの森」などの環境保全活動などを行っていますが、昨今の環境問題を前にして「新しく何かできることはないか」という疑問が生まれました。そこから資源に対してできるアクションを探しているなかで、使用済みの化粧品容器に着目しました。実は、以前から「商品のリニューアルで容器を捨ててしまうのがもったいない」というお客様や社内の声があったのです。そこからヒントを得て、リサイクルをして別のものに活かせる方法があるのではないか、と検討を始めることにしました。

環境活動って、自分のアクションが結局どう貢献したかが分かりづらいですよね。だからこそ、「こんな風に生まれ変わったんだ」「協力してよかった」とお客様に感じていただけるように、見える形で還元したいと思いました。この取り組みをきっかけに、よりサステナビリティ活動に興味を持っていただけたら嬉しいです。

 

――リサイクルの案として、スパチュラを選んだ理由は?

さまざまな案を検討したのですが、お客様にお届けできて身近に使っていただけるものにしたいと思いました。一度限りの使い捨てではないというエコな部分も含めて、スパチュラが最適だと考えました。

 

――社内の反応はどうでしたか。

一度やってみようと動き出したところ、意外と全社を巻き込む大きな取り組みになりました。スパチュラの生産や品質管理だけではなく、法律面の確認や調達面での細かい調整など。対応することがたくさんあったので、それぞれの部署に協力してもらいました。「良い取り組みだね」とどの部署でもポジティブに受け止めてくれて、快く協力してくれたのは嬉しかったですね。

――社内でも新しい取り組みだったのですね。順調に進みましたか?

使用済み容器の扱いについては、法律面で専門知識が必要な場面もあり、その点は特に苦労しました。グループ会社からコンサルの方を紹介してもらったり、法務部のメンバーと都庁まで話を聞きに出向いたりもして。いろいろと考えなければならないことが多かったですが、それでもやめようと思ったことはありませんでした。やってみてから気づく・本質が見えてくるということは多いので、とりあえず行動を起こしました。

 

――いろいろなチャレンジを経て完成したのですね。お客様にはどんなことを伝えたいですか。

オルビスをご愛用いただくお客様は、環境問題に対して関心や意識の高い方も多く、そういった方々にブランドを支えていただいているのは非常に嬉しいです。社会や環境を良くしていく活動を、今後もぜひ一緒に取り組んでいきたいな、と。

一方で、もし「自分に何ができるか分からない」という方がいらっしゃったら、「一緒にやっていきましょう」とお声がけしたいです。サステナビリティ活動は、きっと小さな行動の積み重ねだと思うんです。ゴミを分別するとか、こまめに水道の蛇口を閉めて無駄を減らすとか。そういうことでも意味はありますし、きちんとできた自分を肯定してあげることも大事だと思っています。急に背伸びをする必要はありませんので、まずはご自身の周りでできることから一緒に探してみませんか。

 

――加藤さんの考える、サステナビリティとは?

私は、お客様の毎日がより前向きになるようなお手伝いができたらいいな、という思いを持ちながらオルビスで働いています。お客様が自分なりの美しさを見つけて多様に発揮していくこと――それを当たり前のこととして続けていける社会を作りたいですし、叶えていくことがオルビスの目指すサステナビリティではないか、と考えていて。その推進においては、地球環境への影響も常に意識していかなくてはなりません。

世の中は日々変化していくので、新しい取り組みはどんどん試してみたいですし、そのためにサステナビリティへの理解と勉強は積極的にしていきたいと思っています。

アクションを次に繋いでいく

今回の「リサイクルスパチュラ」の加工を担っていただいている、吉田コスメワークス株式会社の正親(おおぎ)さん・田畑(たばた)さんにお話を聞きました。

――オルビスから今回のリサイクルの話があったとき、どう感じましたか。

正親:今までは、在庫の容器や容器を作る際に出る端材などは粉砕して廃棄していたので、取り組み自体はありがたいお話でしたが、品質面や強度面で不安があったのも事実です。お客様が使用する際の安全性が、もっとも心配でした。

最初は美容部員の方々が使用する手鏡なども提案したのですが、せっかくだからお客様が使って、喜んでいただけるものを作りたいと思い、スパチュラに取り組むことにしました。

端材のイメージ

田畑:そもそも成形ができるのか、という不安はありました。プラスチックは熱を加えると脆くなっていってしまうので、一度容器にしたものを再加熱することは安定性に懸念があるんです。社内で何度も試作をして、品質にバラつきが無いか確認もしながら進めました。初めての試作品はすぐに折れてしまうなど脆かったのですが、再トライした際に、温度や添加する素材などを変えたことでやっと成功の兆しが見えました。そこまでにかかった日数はおよそ2か月半くらいです。

正親:今回のように、回収した容器が形を変えてお客様の手に戻るような取り組みは、化粧品業界ではまだ実績が少ない印象です。プラスチックは臭いを吸いやすいので、化粧品そのものに臭いがついていたりすると、よりケミカルな洗浄などの工程が必要になります。そういう点では、無香料のオルビスの化粧品は相性が良かったのではと思います。

 

――リサイクルスパチュラを手にしたお客様に伝えたいことはありますか?

正親:“脱プラスチック”を実現することは、実生活を考えると簡単ではないと思います。ただ、今回のように容器をリサイクルして環境への負担を減らすことはトライしやすい。オルビスのような取り組みに協力することや、スパチュラを使って環境活動に貢献することを、「気持ちがよい」と思えて、次のアクションに繋がるきっかけになったら嬉しいです。

田畑:試行錯誤の末に、自信を持って提供できるスパチュラが出来上がりました。手に持つ部分の厚みや、使用時の感触にもこだわっていますので、安心してお使いいただきたいと思います。


リサイクルは広く行われていますが、自分の手を離れたモノがどのようなプロセスで循環しているか、実はよく知らない方が多いのではないでしょうか。 今回は、お客様が起こしてくださったアクションをオルビスが受け取り、スパチュラとなって再びお客様の手に届けることができます。私たち一人ひとりが起こしたアクションで、リサイクルのリレーはスタートできるのです。

私たちの新しいアクションが、またみなさんのワンアクションに繋がりますように。オルビスでは、今後もさまざまな活動を行っていきます。


容器の回収は、以下の店舗で行っています。

回収店舗

SKINCARE LOUNGE BY ORBIS 〒107-0062 東京都港区南青山5-7-1

 

回収対象商品

・ローション(化粧水)、モイスチャー(保湿液)のボトル

※オルビス商品の容器のみの回収となります。

※1回の容器回収につき、オルビスポイントを50ポイント贈呈しています。

PROJECT back number

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伝えられたリアルを、受け止めて広げていく│ジャパンハート創設者の講演会でオルビス社員が感じたこと

vol.2
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2024.10.01

子どもたちの未来を創造できるように|デザイナーが見つめた想像力

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手のとどくところにあるサステナブル|アースデイでの出会い

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「お手伝いしましょうか」その一言が社会を動かすと知っていましたか?

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