環境と手を繋ぎ、ここちよい美しさを見つける | 清泉女子大学学生との対話
SUSTAINABILITY
今夏、7月にローンチされた「CLEANENCE(クリーンエンス)」。ブランドのコンセプトである美しさの連鎖を体現化したワークショップを通して、オルビスは清泉女子大学地球市民学科の大学生たちと出会いました。美しさや環境について、それぞれが大切にしている思いを交換したやりとりをレポートします。
「海の生物たちがゴミで苦しんでいる」。そんな率直な思いを言葉にしていくことは難しいことでしょうか。ヒトがもたらした山積みの環境問題に懸念を抱き、日々自分にできることはなにかと模索を続ける清泉女子大学地球市民学科の大学生たち。学生有志団体Econistaとして今年の6月から活動を始め、ゴミをなるべく出さず資源を循環させるサーキュラーエコノミーの実現に向けて、アップサイクルの視点から取り組んでいます。地球にやさしい消費行動を、楽しみながらできる社会にするために何ができるのか、社会が抱える諸問題に向き合っています。
今回SKINCARE LOUNGE BY ORBISで、コロナ禍で大量消費された廃棄アクリルパーテーションを使用してアップサイクルワークショップを開催。講師にシツラエの井村さんを招き、11月に開催される学園祭や街のイベントで販売するアクセサリーを作成しました。
環境に対する高い意識は壁になる?
地球市民学科では海外交流を通して国や企業の多様な仕組みについて学ぶことも多いといいます。いま生活している日本での気づき、そしてこれまで大人たちがつくり上げた社会や環境問題について、何を感じているのでしょうか。
「コロナが明けてヨーロッパへ旅行したときにZero Wasteをテーマにマイタンブラーを持参しました。日本ではあまり見かけない給水ポイントが多く、ほとんどペットボトルを買わずに過ごせたことに日本との大きな差を感じました」。
他にもバリ島では環境に対する意識が高く、家庭ゴミも7種類に分別するのが当たり前。アップサイクル、サステナブル、コンポスト、オーガニックというエシカルな言葉を“知っている”というだけではなく、“説明できる”人がほとんどで「日本との意識の違いを感じた」そうです。
「まだ使えるモノを捨ててしまうのがとにかくもったいない」、「必要なものを長く持ち続けること」を日頃から意識しているという彼女たち。自分たちができる・できないではなく、現状を知ることで環境に対してプラスに繋がることがあるのではないかと続けます。
ペットボトルはできるだけ買わず水筒を持ち歩く /詰め替え商品を心がける /コンビニの袋はもらわない /過剰包装されていない商品を買う /アップサイクルされているものを買う
前述した意識の行動はもちろん、どんぐりを拾って土に埋める植樹プロジェクトに参加するなど、大学生たちの積極性が垣間見えました。体験することは有益な情報をキャッチする大切な接点。知ることへの間口が広まってほしいとも話してくれました。
ただ、「意識すればできることはある、でもどこか壁がある」と意識の高さが彼女たちを困惑させた場面もあったそう。
「店員さんが善意で渡してくれたビニール袋を断った時、“無料ですよ”と言われ、どこか悲しい気持ちになった」。高い意識は良いことのはずなのに、“ここちよくなかった”とやるせなさが潜んでいました。日常で浮き彫りにされにくい社会問題の一端には、可視化できない大きな課題がいくつもあるのかもしれません。
素直な活動を応援したい
少し緊張した面持ちで始まったワークショップ。オルビスが取り組んできた「本当に必要なものを見極める」という姿勢は、肌が喜ぶもの、ここちよいと感じるものを見極めた原材料や処方による商品設計、そして1990年より業界内で先駆けて試みた簡易包装や、化粧品の詰め替え用の発売にあらわされ現在まで続いています。
そして「CLEANENCE(クリーンエンス)」が実現した「環境にいいものは肌に効果的なもの」という背景を知ってもらうことは、企業側においても良い機会でした。大学生にとっても、今後の選択肢を広げていく中で、価値のある情報だったと等身大な本音が伺えました。
「善い取り組みをしているのに知らないことばかりでした。正しい情報が埋もれてしまい、企業の取り組みを知ることが難しいSNSの時代。表面的にでも積極性のある海外ブランドなどは目に留まりやすく、応援されやすいのは事実です。でも今回の体験で、どれだけ真摯に環境保全に取り組んでいるのかを理解できて、オルビスを応援したくなりました。進路を決める上でも、企業の本質や取り組みを捉えられる機会がもっとあったらいいなと思います」
肌を追求する美容が、自然や環境にまで美しさの環を広げるポジティブなアクションになってほしい。美容を楽しみたい気持ちから始まる、自分ファーストなクリーンビューティであってほしい。そんな、誰もが楽しむための美容であることが「CLEANENCE(クリーンエンス)」に込められた信念でもあります。ただ、そんな背景と寄り添いながら、手綱を引いてきた「クリーンビューティ」というキーワードでさえ、海外と比べると日本での認知は低く「知っていて、積極的に取り入れている」のは日本で全体のわずか4.7%※に止まるといいます。
※サーベロイドによるネットリサーチ N=601 名 対象者:25~29 才女性 180 名/30~34 才女性 240 名/35~39 才 181 名
「人間界で循環しないゴミを生み出すのはヒトだけ」
環境改善への糸口はどこにあるのでしょうか。細い糸を撚るような気の遠くなる作業だけとは限りません。私たちは既にアップサイクルの必然性を知り、捨てないアイディアとクリエイティブな遊び心を育てているのではないでしょうか。
株式会社ツクリさんはアップサイクル事業として2014年から建築やインテリアの内装、オブジェやディスプレイなどイベントで活用できるプロダクトを制作しています。コロナ禍によって大量消費されたアクリルパーテーションにすぐさま着目し、廃棄を減らす取り組みとしてアクセサリーブランド「シツラエ」を立ち上げました。
今回の材料であるアクリルパーテーションの一部は、このワークショップのために実際に大学生たちが自ら声をかけて集めてきたもの。3mmと5mmのアクリルパーテーション2脚と、本体1面あわせて80セットを用意し、大学生たちが予め考えた蝶のモチーフを無駄が出ないよう工場でピアス型に成形。カラーテスト、デザイン、乾燥時間やもう片面にかかる時間配分も考慮しながら制作が進んでいきます。
一朝一夕では実現しない難しい環境問題と日々向き合う大学生たち。うってかわって楽しげに綻ぶ表情は、美しさやここちよさを生み出す空間や意識に繋がるようにも感じます。
「これからの季節を意識して、色を絞ると手に取りやすくなります」とアドバイスを聞きながらデザインを配色。カラーはシーズナルで販売されなくなったオルビスの廃棄ネイルを使用。指輪の端材に試し塗りを繰り返し「この色かわいいね、これとこれを合わせると」と、悩みつつも意見交換しながらできるのはワークショップの楽しみのひとつ。「緊張する!」とひと塗りひと塗り、慎重に色を塗っていく姿が印象的に映りました。
環境と美容を紡ぎ、連鎖していく
スタート時に感じた彼女たちの緊張もほぐれ、作業する手は次第にスムーズに、色とりどりの個性的なカラーリングが施されました。昨年の学園祭は家族や友人等、関係者のみ来場可能な形の開催でしたが、コロナ禍の制限が解かれた学園祭を目前に楽しいアイディアも生まれてきたようです。
オルビスは、かつてカタログ販売が主流だった時代に消費した森への貢献として、山梨にある「オルビスの森」を再生することに向き合ってきました。生きている森の再生は、人間の技術や自然のシステムなど多くを学ばなければ成立しません。いち企業だけでも行政だけでもNGOだけでも難しいですが、持っている強みを活かしながら三位一体となることで実現し、継続できたことです。
「環境を意識した選択で美容を我慢したり諦めたりしてほしくない」という「CLEANENCE(クリーンエンス)」の願いを込めたメッセージが届けられた、実りある時間でした。
株式会社ツクリ https://tsukuri.co.jp
学生有志団体Econista Instagram: @econista.upcycle
CLEANENCE(クリーンエンス)https://www.orbis.co.jp/product/cleanence/
CLEANENCE(クリーンエンス) Instagram: @clnce_official
SKINCARE LOUNGE BY ORBIS https://www.orbis.co.jp/skincarelounge/