子どもたちの未来を創造できるように|デザイナーが見つめた想像力
SUSTAINABILITY
持続可能な社会に対する取り組みの一環として、オルビスは子どもたちへの寄付支援を主軸に据えたプロジェクトを、本年度新たに発足しました。
プロジェクトの第一弾は、長年愛されてきた鉄分補給ドリンク「グレープFe」のパッケージを、子どもたちの絵を施した特別デザインに*。本商品の売上の一部はNPO法人 「子供地球基金」を通して、世界中の子どもたちの支援に使われます。
本記事では、そのイラストを選び抜いたデザイナーの目線で、絵に込められた子どもたちの想像力を読み解きます。絵の中にちりばめられた、子どもが持つ可能性を一緒に考えてみませんか。
*通常デザインの在庫終了次第、特別デザイン商品を順次お届けいたします。また、弊社都合で特別デザイン商品の販売を終了することがございます。
特別デザインの企画を担当した、商品企画グループ・プロダクトデザイナーの永川に話を聞きました。
デザイン決定に込めた思い
――子どもたちの絵を見て、率直にどう感じましたか?
感じたままを描いている、大人には出せない独特の想像力を感じます。リンゴだって、赤じゃなくて、黄色に感じたらそう塗る。見えたままと同時に「こうあって欲しい」「こうだったら楽しいだろうな」という気持ちも感じられます。絵だけど、そこには物語があるんでしょうね。――それぞれの子どもの世界観で、ストーリーが作られている気がします。
――たとえば、どんなストーリーを想像しましたか?
ある絵では、ぬいぐるみのクマがメインの絵があるのですが、隣に人物が描かれていて。これはもしかしたら、描いた本人かもしれませんね。クマと人物のサイズが同じくらいなので、同じ世界の住人になっている様子や、生命が宿っている様子を感じました。いつも遊んでいるおもちゃと、本当の意味で一緒に遊ぶストーリーなのかな、とか。
――その中で、どういう視点で商品に使う絵を選んでいったのでしょう?
直感的に、子どもらしい「かわいい」と思う絵を選びました。絵の多くは、動物が描いてありました。子どもにとって動物は身近で心のよりどころなのかもしれないと感じています。子どもって、楽しいものや好きなものを描くことが多いので。
お客様にも、その子どもたちの「好き」や「楽しい」というエネルギーが伝わると嬉しいです。子どもたちにとっても、自分が描いた絵で誰かを豊かにできると知ることは、とても大きな経験になると思います。これは支援のサイクルを子どもたち自身で回していくことにつながるんじゃないかな、と。
――「子どもらしさ」はどんなところに出ていると感じますか?
一番は、色に「こうだったら楽しいな」という気持ちが出ているように感じられました。 大人の絵って、色の組み合わせがまとまってしまうことが多いんです。子どもたちの絵では、使いたい色を絵のパーツごとに分けて塗っていて、そこが非常に自由だと感じました。かなり丁寧に塗られているんです。すごく集中して描いたんだな、ということがうかがえました。どんなに細かい絵でも、色がはみ出していませんでした。自分が「いいな」と思ったことに対する集中力やエネルギーに、子どもの可能性を感じます。
絵を描き始めると絵を描き終えることが目標になってしまうことが多いのですが、子どもたちは描くことそれ自体が目的になっているんですね。
――商品パッケージにするにあたって、工夫した点・難しかった点はありますか?
大抵、紙の中心に重要なものを描くのですが、子どもの絵はバラバラです。メインが端に寄っていることだって少なくありません。そこで、パッケージの中心にメインを持ってくるために絵のストーリーを想像して、主役はどれだろうと探してみたりしました。 そういった理由で、トリミング(絵の切り出し)も難しかったです。「きっとこれは大切に描いたものだろうな」と想像して、そこが切れてしまわないように気を付けました。
実際にデザインしてみて感じたのは、「グレープFe」のパッケージ自体の色が彩度高くあざやかなので、絵の色彩と非常にマッチするんです。リアルさを目指す絵と違い、子どもの絵は原色をそのまま使ったり、影が描かれていなかったりします。そういった特徴も、商品とうまくマッチしていて面白かったですね。
一方で、今までのパッケージの雰囲気も感じられるような、あまり違和感のないデザインにしたいとも考えていました。長く愛されている商品だからこそ、いつもご購入いただいているお客様の安心感にも繋げたくて。
――子どもたちの未来について、永川さんの想いを教えてください。
何かに寄付をするとき、支援する側も救われる部分があるなと感じています。誰かの役に立つことって、人の生きる価値につながって、自分の心も救われるような。 今回の「グレープFe」のように購入支援ができるというのは、購入の喜びや楽しさが2倍になることでもあると思っています。特別なことをしなくても自然にできる支援だからこそ、お客様の生活の中にいかに無理なく溶け込めるかを考えました。
子どもたちが、色彩豊かな感覚を失わないような未来が来ることを願っています。自分の心にあるものを自由に表現できている状態が長く続いて欲しいですね。 こうした取り組みは、子どもの発達に大きな影響を与えられると感じています。絵は正解が無いから、誰でも楽しく描くことができます。自分のやりたいことを自由にやれるというのは一つの成功体験に繋がっていくと考えます。 言語化がむずかしい年ごろでも、自分の願望を絵だったら表現できたりしますよね。描きたいものを自由に描くという、子どもらしさをいつまでも持ち続けて欲しいです。
――「グレープFe」のパッケージをより楽しむためのポイントはありますか?
絵のタイトルを考えてみると面白いかもしれません。猫のように見えるけれど、本当にこれは猫なのかな?と、少し違う見方をしてみて欲しいです。子どもの絵のエネルギーは直感的で、日常にはないちょっとした異世界のようでもあります。自分に非日常の楽しさを与えてくれるんです。さらにストーリーを考えてみたりすると、面白さが生まれてきます。 ちょっとかわいいな、元気が出るな。そんな風に心をくすぐられるような感覚を体験してもらえたら嬉しいです。手に取った皆様が、子どもたちの元気をもらえるといいな。
皆様の目に、それぞれの絵はどのように映りますか。たとえ困難の中にいたとしても、子どもたちの豊かな想像力を育むことができたなら、それは、私たち大人にとっても素敵な体験になっていくはずです。ぜひお手元に届いた際、イラストをじっくり眺めるきっかけになれば幸いです。
※本記事内容は、公開日(2024年10月1日)時点の情報に基づきます。
Profile
永川 佳寿絵 (Nagakawa Kazue)
2020年 オルビス株式会社に入社。ブランドデザイン部 商品企画グループにてスキンケア・コスメなどのパッケージデザインを務める。2024年9月に発売した、「グレープFe」子供地球基金コラボパッケージのデザインを担当。