おにぎりを握る朝 haru.× 横澤琴葉
月曜、朝のさかだち
ひとりでやっていることを、誰かと一緒にやる
第2回目の『月曜、朝のさかだち』のゲストに来ていただいたのは、ファッションブランドkotohayokozawaのデザイナー横澤 琴葉さん。2015年にブランドをスタートさせた横澤さんは、自由な発想と服作りに対する真摯な姿勢を兼ね備え、日常に溶け込みながらも、日々をキラッと輝かせてくれるアイテムを提案し続けている。
そんな横澤さんと行なった“ゴキゲン”な朝活は、「おにぎりを握る」。土鍋で炊いたお米をテーブルの中央に置き、梅干し、鮭、明太子、ゆかり、山椒の葉の塩漬けなど、いろんな具材を並べ、自由におにぎりを握った。
お椀を二つ重ねて中にお米と具材を入れてシャカシャカ振り、まん丸おにぎりを作るharu.さんに、ラップに包んで握る横澤さん。自分で作るからこそ具材の組み合わせも自由自在!「ふりかけはいっぱい入れたほうがいい」「具材2個入れしちゃおう」。そんな贅沢なおにぎり作りの楽しみは、誰かと一緒に作ることでより一層感じられるのかもしれない。
「家で自分が食べる分だけ作るときって、どのくらいこだわればいいか分からなくなるんです。握ったおにぎりをお皿に移すと洗い物が増えるしなって思ったり。だけど誰かと作ることで、その空間の彩りみたいなことを考えるから、空気が引き締まっ て、ひとりでいるときの気楽さとは違う、ここちのよさがあるんですよね」
ひとりでいることのここちよさ、誰かといることで生まれるここちよさ。それぞれを知ることで、自分にとっての心の豊かさがどんなものなのか理解できていくのではないかと横澤さんは話す。
「こっちのおにぎりはお店で売ってそうな中身が溢れ出してるやつで、こっちは俵むすびみたい!」と、作る人によって見た目も形もバラバラ。そんなオンリーワンなおにぎりたちを眺め、いざ実食。
朝活は誰かと何かを取り組む前のウォーミングアップ
おにぎりを握ることで私たちの五感に刺激を与えてくれる。お米が炊けたときに香る匂い、おにぎりを握るときに手に広がる熱。色とりどりの具材を眺め、自分だけのおにぎりを作っていく。そんななかでも横澤さんをもっとも刺激したのは味覚だと言う。
「とにかく、美味しかったです!みんなでご飯を食べるって、環境もいつもと違うのもあって味に集中できないかなって思ったんです。だけど、食べてみたら美味しすぎて4個も食べてしまいました(笑)。普段は誰かとご飯を食べるのって夜が多いと思うんですけど、そのときってご飯を食べることよりも、その人と話すことだったりが目的になって、飲み物は飲むけど、ご飯はあまり進まないこともあるじゃないですか。今日はおにぎりを握って食べることが目的だったのもあって、味に集中できたのかもしれません」
仕事や予定から解放された夜と、1日がはじまる朝とでは、ご飯との向き合い方や、感じ方が違ってくることを知った今回の朝活。横澤さんは朝活を「誰かと何かを取り組む前のウォーミングアップ」のようだと振り返ってくれた。
「朝のルーティンみたいなものはあるけど、それを誰かとやるだけでイベントになるなって感じました。今日もこのあとPodcastの収録をするけど、そこに向けてharu.ちゃんと気持ちを揃えていく感じがして楽しかったです」
1日の始まりに同じ活動をして、同じものを食べ、足並みを揃えていく。誰かと何かの取り組みをする前に、そんなゴキゲンな活動をしてみるのもいいかも。横澤さんとharu.さんによる『月曜、朝のさかだち』では、横澤さんのブランドkotohayokozawaがファッションという枠にとらわれずにアプローチすることへの思い、そのなかでの不安や葛藤、それらとの向き合い方などについてお話ししてくれています。全4回に分けてお届けするので、是非聞いてくださいね。
みなさん今日もいってらっしゃい。そして、お疲れ様です。
Profile
横澤琴葉 Kotoha Yokozawa
ファッションブランドkotohayokozawaデザイナー。即興的なデザインアプローチと日常に溶け込んでいくデザインが混在するアイテムを展開している。2020年には毎日ファッション大賞新人賞・資生堂奨励賞を受賞し、国内外から支持を得ている。
photography: miya(HUG) / text: kotetsu nakazato