ホットケーキを焼く朝 haru.×山田由梨【前編】
月曜、朝のさかだち
第8回の『月曜、朝のさかだち』では、作家で演出家の山田由梨さんをゲストにお迎えし、「ホットケーキ」を作りました。お家で作る懐かしの味を堪能した2人は、出会いを振り返りながら、山田さんが主宰を務める劇団『贅沢貧乏』*①の作品で描かれているメッセージ、2人の活動に共通する思い、タブー視されてきたトピックと向き合い続けてきたからこそ見える、この数年での社会の変化についてお話いただきました。
それぞれの朝とごはん
haru._『月曜、朝のさかだち』本日のゲストは、作家で演出家の山田由梨さんにお越しいただきました。今朝の私たちは、ホットケーキを焼きました。
山田由梨(以下:山田)_焼いて朝ごはんに食べたね。
haru._ホットケーキミックスを使ってね。
山田_すっごく久しぶりにホットケーキ作った。
haru._ね。ホットケーキを作るってなったら、必ずホットケーキミックスを買って作ると思うんだけど、それがすごく懐かしかった。自分で1から作る人もいるんだろうけど。
山田_いろんな粉を調合してね。最近だと、ちょっと美味しいホットケーキミックスも出てるじゃん。そういうのをもらって作ったのが最後なんだけど、それもちょっと昔だな。だから今日のやつはいつものやつって感じで、懐かしい味だった。「そうそう、この味!」みたいになったよね。
haru._たまに無性に食べたくなることがあるの。週末とかに作りたいなってなるんだけど、一回食べるとしばらくいいやってなる(笑)。
山田_わかる(笑)。巷にはおしゃれなホットケーキがいっぱいあるから、これは別物だよね。こういうジャンルのホットケーキって感じ。
haru._そうだね。家で作るからこそすごく美味しく感じるやつ。
山田_そうかも。美味しかったけどね!
haru._フルーツを焼いたり、ちょっとアレンジとかもしてみたりして。
山田_リンゴを焼いたらやっぱり美味しいっていうことがわかった。
haru._私たち実は結構長いお付き合いでして。私は「由梨」と呼んでいるんです。
山田_私は「はる」と呼んでます。
haru._じゃあ、いつも通りに呼ばせていただきますね。由梨はいつも朝ごはんをしっかり食べるタイプだもんね。
山田_私はしっかり食べたいタイプだね。自分で準備できるときはちゃんと食べるけど、納豆とご飯だけっていうときもあるし、パンのときもある。でも基本的にはちゃんとおかずも用意して食べたいタイプだね。
haru._それ朝に自分で用意するの?偉いね。
山田_自分で用意するよ。偉いでしょ。お味噌汁作ったりするよ。haru.は朝に何を食べるの?
haru._私は朝家を出て、電車に乗ってるときに、今日何を食べるか考えるの。「朝ごはん何を買おうかな」って。
山田_お家では食べないんだ?
haru._ほぼ食べないかも。だから和食のこともほとんどない。コンビニでおにぎりを買ったり、レトルトのスープを作って食べたり、パン屋さんでサンドイッチ買ったり、そんな感じ。
山田_じゃあ電車の中で朝ごはん何しようかって考えてるんだね。でもなんかいろんな選択肢があっていいね。
haru._いろいろあるように見えて、朝やってるのって、パン屋さんかコンビニくらいなんだよね。本当は由梨みたいにお家で作ったりできたら一番いいんだけど、なかなかその習慣をつけられないんだよね。
山田_でも私は家で仕事するのが多いし、毎朝出勤するとかじゃないから、自分のペースで作ったりできるっていうのはあるよ。出勤とか学校に行くとかってなって、毎朝ご飯を作るのは大変だと思う。朝起きて、ちょっとボーッとして、お腹すいてきたら作るっていうので、生活が回るから。
haru._家で仕事している人たちの独特な時間軸ってあるよね。
山田_全然違うかもね。打ち合わせに行くとか、もちろん外に出る仕事もあるけど、基本的には家で脚本を書いてるから。一番忙しいときに、一番家にいるみたいな、すごく不思議な感じだよ。
「アウトプットが違うだけ」 共有し合う“同じ感覚”
haru._脚本を書いているときは、ほぼ家に缶詰状態なの?
山田_そうだね。でも、そんなにストイックな感じじゃないかも。最近はドラマの脚本を書いていたんだけど、机に向かって、キーボードを打ってる時間ってたぶんみんなが思っているよりも案外短くて。それよりも、考えていたり、ノってくるのを待っていたり、言葉が出てくるのを待ってる時間の方が結構大事。それで十分溜まった!って思ったら一気に書くっていう感じかも。
haru._そうなんだ。じゃあいろいろやってて、今書けるかもと思った瞬間に書いてるってこと?
山田_うん。
haru._私は、書き仕事ってあんまり受けないんだけど、たまに「エッセイを書いてください」っていうお仕事を受けることがあって。そのときに納期を言われるじゃん?それで大丈夫かなって思って引き受けるんだけど、他にもお仕事はあるし、由梨みたいに「今書けそうだな」って思えるまでにすごく時間がかかってしまうの。そのことをいつも忘れちゃうの(笑)。書こうと思って机に向き合えば書けるだろうみたいな感じで書き仕事を引き受けちゃうんだよね。私が納期のスケジュールに合わせなきゃいけないことなのかもしれないけど、「降ってくるのを待つ時間をください」ってどう伝えたらいいんだろうって思ってる。
山田_難しいよね。仕事で書くときの感覚ってみんな違うかもしれないけど、急にパソコンの前に座って書くってなっても、書けないんだよね。そこまでに、そのテーマに関して日々考えていく時間が必要だよね。それがちょっとずつ溜まっていって、糸口が見つかって、やっと一行目が書けて、そうしたらその後も書けるっていう……。
haru._本当にそうなんだよね。メールの返信とか、請求書を送る感覚でパソコン開いても何も起こらない。
山田_起こらないよね。
haru._意外とディレクションの仕事とかだと、結構早いんだよね。絵で表したり、こっちだと思ったらそこに肉付けをしていく感じで本を読んだり、いろいろ調べたりとかするんだけど、文章を書くっていうのは、たぶんあんまり向いていない。だから毎回めっちゃ苦労してる。
山田_でも、前にharu.がエッセイを書いていたときとか、私は読んでて、haru.の文章がすごく好きだなって思ってた。でも確かに今はharu.の言葉ってなると、喋るのを聞くことが多いね。
haru._書くのは好きなんだけど、自分はこれが得意だ!みたいな感覚はないんだよね。
山田_でも、私も得意だって感覚はそんなにないのかも。私は、もともと俳優をやってて、大学生のときに劇団をはじめて、そこで劇団の作品を作っていたら、脚本とか演出をしていたのが派生して仕事になって、今ドラマの脚本を書いてるっていう。だから、自分がドラマの脚本家になるなんて思っていなかったし、目指したこともなかった。ドラマの脚本家になりたいって目指す人ももちろんいるなかで、いろんな活動をしていくうちに脚本という部分が今抽出されて、作家をやってるのが自分でも不思議。
haru._側からすると、すごく必然的にも見えるの。私が由梨と出会ったのは、由梨が主催する『贅沢貧乏』っていう劇団が2019年に上演した『わかろうとはおもっているけど』*②っていう作品の上演後のトークイベントに私が行ったことがきっかけだった気がするんだよね。
山田_それがきっかけなのは間違いないんだけど、どうやって私はharu.に連絡したんだろう。
haru._私もそこまで思い出せなくて……。でも、当時『She is』で、今の『me and you』*③の野村由芽さんが『わかろうとはおもっているけど』で上演後アフタートークイベントのMCをされていて、そこに私がゲストで出演したんだよね。そのときに由梨を紹介してくれたのかな。なんでだったかは本当に思い出せないけど。
山田_でも、私がharu.のこと知らないときにSNSでフォローして、こんな素敵な子がいるんだ!って思った記憶はあるんだよね。
haru._それが5年前なんだよね。意外と短いんだなって思った。もうずっと知っているというか、近くで活動を見てる気がするからね。『わかろうとはおもっているけど』はカップルの話だったよね。あるカップルの関係性が舞台で繰り広げられてて、ある日彼女の妊娠がわかると、だんだんと2人の関係性が変化したり、戸惑いみたいなものが生まれたりとかして。それが題材となってる舞台だったよね?
山田_そうそう!
haru._それを見たときから、この人は社会とすごく身近な生活の部分に焦点をあてて制作しているんだなって思ったの。しかもそれらを飛躍して表現するっていうよりかは、どこにでもありそうな景色に焦点をあてるというか、じーっと見つめるみたいな。そこにある問題点やおかしさみたいなものをちゃんと拾って、丁寧に描いていくのが、由梨を含む贅沢貧乏の作り方だなっていうのをそのときに思った。その印象がずっと変わらなくて、由梨が手がけた『17.3 about a sex』*④や『30までにとうるさくて』*⑤とか、私から見ると、すごく自然な流れに見えるの。舞台とドラマでは仕事の内容は全然違うだろうけど、人の活動っていうのはこうやって広がりを持っていくんだなって思ったんだよね。
山田_そんな風に見守ってくれてたんだ。確かに、アウトプットとして演劇とドラマでは結構違うけど、作品を作るうえで大事にしてることは根底では同じ。だから繋がりは確かにある。『わかろうとおもっているけど』ではジェンダー問題への感じ方の違いや、フェミニズムについて描いていて、最近連続ドラマで書いているのにも、そういったものは外せない要素になってる。
haru._だから勝手に、私は由梨とは全然違う仕事をしてるけど、社会とか生活に対する視点にすごく共感するし、私もきっと媒体を変えて同じようなことをしてる感覚がある。
山田_それは私もめっちゃ思ってる。
haru._そうだよね。だからずっと一緒に作ってるみたいな、近くに感じていたっていうのは、たぶんそういうところかな。
山田_そういう感覚あるよね。違うアウトプットでも、近い信念みたいなものを持ってやってる。
タブーとされるものとの闘いから見える この5年での社会の変化
haru._別のインタビューで、由梨が劇団を始めたのが東日本大震災の翌年だから、「自分が作ってるものは震災の後のもの」って話していたじゃん。コロナでも同じような感覚があったけど、あの時って、社会が一変する感じがあったよね。あの体験をしてから、自分がアウトプットしたり、作品を作るっていうのは、それらを経験する前の自分では、あり得ない表現をしているんだよなっていうのが、時間が経って私もわかってきたの。私たちの世代、Z世代やミレニアル世代って、そういう社会問題や、ジェンダー問題とかに積極的に取り組んでいるって言われたりするじゃん。私たちも結構ミレニアル世代のリアルな声みたいな感じでインタビューを受けてきて、当時は私たちが持ってる共通の視点とか、空気感がなんなのか、あまりピンときてなかったけど、そういう共通するものが、由梨とはあるのかな。
山田_私は、震災があって、その翌年に劇団を始めて、しかもその年に私は初めて投票権を持ったんだけど、やっぱりあの時って、政治の問題とか、なんでこんな危険な原発を推し進めるんだろうとかを考えざるをえなかったじゃん。震災をきっかけに、選挙に絶対に行かなきゃダメだって思って、その辺りから政治の動きを見るようになったし、自分でも色々と調べるようになったし、そうすることが避けられなかったなって思うの。いろいろな生きづらさが政治の問題であることが、結びつきやすくなったというか。だから同時に物語を書かなきゃいけないっていう思いを持ちながら、特に20代は過ごしてきたかもね。
haru._始めた時からそういう感覚だったってことだよね。無視できなかったよね。
山田_そう、無視できなかった。だから、「真面目に社会問題を取り扱ってるよね」って言われても、「だって、無視できないくらい目の前にあるじゃん」って感じだったかも。
haru._贅沢貧乏についてもう少し話を聞きたいと思うんだけど、もう10年以上やってるのか。劇団員の構成は?
山田_今は俳優が3人いて、あとは制作で、5人全員女子。年齢も1、2個の差だから同世代でやってる。
haru._全員女性なのも特徴だよね。メンバーは入れ替わってた?
山田_大学卒業した時は、大学の同期のメンバーでやってて、俳優は1人もいなかったの。音楽を作れるメンバーや、映像を作れる人、美術とか、どっちかっていうと裏方メンバーで構成されてた。
haru._そうなんだ。じゃあ俳優さんが毎回変わる感じだったの?
山田_そうそう。だけどそれぞれ就職するとか、状況が変わってポツポツ抜けて、そのタイミングで何回か出てくれてた俳優が入ってきて、そこから今の形になった。だから最初から今の感じだったわけじゃないんだよね。
haru._私も何度か劇団員のみなさんとお会いしてるんだけど、みんなタイプがバラバラで面白いよね。
山田_バラバラかも。クラスが一緒だったら、仲良くなってたかどうか…みたいなのが面白い。でも集まると仲良いし、みんな意見が違うから面白いの。
haru._社会問題の話とかも劇団員のみんなとするの?
山田_こういう題材を扱うとか、興味あることとか、そういう話を持ちかけたりする。こんな記事あったよってシェアしたり、話したりすることはある。
haru._私が最初に見た、『わかろうとはおもっているけど』の題材も妊娠だったけど、身近な人が実際に妊娠を体験したりすると、そのトピックに対する自分の考えや見え方もガラッと変わったりするんだよね。劇団員のみんなも、たぶん人生のフェーズはそれぞれだと思うんだけど。
山田_当時は、妊娠のこととか、自分の身体が変わることとか、パートナー間でセックスを断りづらいとか、それまで自分の身体を自分のものとしてちゃんとコントロールできていなかったり、半分ぐらい誰かのものみたいに扱ってしまったりしていたんだよね。それは性教育のせいもあると思う。日本の性教育がやっぱり足りなくて、それは性教育のドラマを書いててめちゃくちゃ感じたこと。どうして自分の身体なのに、誰かに合わせなきゃいけないって思っちゃったり、言いづらいとか、言ったら悪いんじゃないかって思っちゃったりしていたんだろうって。例えば、妊娠をしたときに、自分の身体の形が変わることが嫌だなとか、違和感があるとかって、別に思ってもいいのに、それが言えなかったり、神聖視されちゃったり。『わかろうとおもっているけど』を作ったときは、未来に自分が子供を持つことがあり得る年齢になってきて、「どうすんのかな、私は」って考えていた時期だったの。そういうことがいろいろ頭に浮かんできて、いろんな本とか体験談を読んだりしてた。そこには意外にも、「自分のおっぱいの形が変わっちゃうのが嫌だ」とか「髪の毛が本当に抜けちゃった」とか、いろんな話が赤裸々に語られてて。そういう違和感って口に出していいはずって思ったし、むしろ知りたいし聞きたいって思ったの。そういう人の細かい身体感覚が気になって、あの作品に落とし込んでた。
haru._5年前と今では、自分の身体について、どんな言葉で何を語るかとか、そこの許容のされ方とかが結構変わった気がしてて。この舞台を見た当時は、セックスの話も教育の話も結構タブー扱いされていたように感じる。
山田_そうだったよね!?私たちがいっぱい知識をこの5年で得て変わったのか、社会の方が変わってきたのか、どうなんだろうね。
haru._両方なのかなって思ったりする。5年前に、私も自分のマガジンの中で性の話とかをしてて、「タブーに切り込む人」って言われてたの。今だったらたぶんその取り上げられ方は絶対にしない気がするんだよね。だから当時はまだタブーだったな。
山田_そうかも。そのあとに『17.3 about a sex』を書いてるけど、今の方が、放送当時よりもタブー視されてない気がする。本当にここ3〜5年で目まぐるしく変わってきてるんだろうね。
haru._変わってると思う。中学校で包括的性教育を導入しようって副教材を作ってる人たちがいたり、性教育のインフルエンサーさんも増えたりしてる。
山田_こうやって世の中って変わっていくんだよね、きっと。もちろん、まだまだそういう情報が届いていない人もいると思うし、身近なところで私たちは変化を感じやすい環境にいるかもしれないけど、きっとそういう輪はじわじわと広がっていくだろうな。本当に性教育ってめちゃくちゃ大事じゃん。人権だから。
haru._ほんっとうに大事(笑)。
山田_自己肯定感とか、なんか根幹に繋がることじゃん。自分の身体を大事にしていいんだっていうことを、私がもし中高生のときに知ってたら、もっと生きやすかっただろうなって思うし、そういう情報が包括的性教育にはたくさんある。
個人の孤独や葛藤は、世界共通
haru._『わかろうとはおもっているけど』は海外でも上演したの?
山田_パリの演劇祭で上演したり、ニューヨークでリーディング公演したりとか、いろんな広がりがあったね。
haru._日本の性教育の状況と、ヨーロッパやアメリカではたぶん違いが結構あると思うんだけど、反応とかも違った?
山田_私も、日本の状況を描いたこの作品は、海外ではちょっと遅れてるのかなって思ってたの。でも、結構みんなに共感してもらったんだよね。フランスの方が進んでる部分もあるけど、全然進んでない部分もあって、まだまだ平等とは言えない状況っていうのを現地の女性に聞いたりした。別の作品で、女の子が夜眠れず、いろいろ不安でぐるぐる考えちゃうっていう作品を中国で上演したときがあって。その時もすごくビビットな反応があって、そういう個人的な孤独とか、なんか言いづらいなって感覚って、どこの国でも一緒なんだなっていうのを感じて嬉しかったな。
haru._私たちが今生活してるのは日本で、そこで作ってるから海外の人から見たらどう映るのかなっていうのは、想像できないから、すごく気になってた。
山田_誰かとの関係でとか、個人的に感じるコミュニケーションの問題とか、そういうのはもしかしたら、世界共通なのかなっていうのをむしろ感じたかもしれない。
haru._すごく初歩的な質問なんだけど、日本語で公演して、そこに字幕がつくっていうこと?
山田_そうそう、フランス語の字幕をプロジェクションで同時に出したり。中国で上演した別の作品は、中国人の俳優をオーディションして、一緒にやったりもした。これもまた面白かったね。
haru._それって中国語でセリフを言うと思うんだけど、ニュアンスはわかるの?
山田_その時は私がアウェイな状況なのよ。スタッフさん含めみんな中国の人でしょ。私が言ったことを通訳さんに通訳してもらって俳優に演技してもらうんだけど、意外とわかるんだよね。自分が書いた脚本が中国語に翻訳されて、それをみんなが喋るんだけど、ニュアンスとかは、表情や声のトーンだし、それがやっぱり演技だから、セリフの背景を説明したら、ちゃんと変わる。しかも、私も意外と中国語を喋れるようになっちゃうの(笑)。2ヶ月くらい中国にいるから、なぜか中国語で喋ってるときがあって、「中国人みたいになってきたね」って言われてた(笑)。
haru.さんと山田さんの対談は後編に続きます。後編では、山田さんが脚本を務めたNHKドラマ『作りたい女と食べたい女』、『17.3 about a sex』の制作裏、30代の働き方について、苦手な冬との付き合い方など、盛りだくさんなテーマを話してくれています。そちらもぜひ楽しみにしていてくださいね。
それでは今週もいってらっしゃい。
山田由梨さんに聞きたいコト
視聴者さん、読者さんから集めた「ゲストに聞いてみたいこと」にお答えいただきました。今後も『月曜、朝のさかだち』に遊びに来てくれるゲストのみなさんに聞いてみたいことを募集しているので、ぜひORBIS ISのSNSをチェックしてみてくださいね!
Q.最近の個人的ニュースを教えてください
A.高いポン酢は美味しい!この間、友だちとごはんを食べるときに、「世の中って世知辛いから、今日は美味しいもの食べよう、高い調味料も買っちゃおう!」ってなって、カツオのタタキのために『手造りひろたのぽんず』を買ってみたんです。そしたら、ゆずの香りがすごくて、最後の一口まで「美味しいね…」って友だちと言っていました。
Q.普段の生活ルーティンについてお聞きしたいです♪
A.私はルーティンが苦手なんです。毎日同じ時間に起きたり、同じ食べ物を食べるのが苦手で…。ルーティンがある人に憧れるんですけど、いつもすぐに飽きちゃう。だけど、朝起きたらお湯を飲むと調子がいいので好きです。だけど、毎日できないのも自分!
Q.どうしてもやめられないクセってありますか?
A.おなかいっぱいになると眠くなるのですが、眠いのを具合が悪いと勘違いしちゃう。本当はおなかいっぱいなだけなのに…
Q.働くうえでのマイルールはありますか?
A.仕事を頼んでくれる人、作品を作る系の仕事であれば、受け取ってくれる人に誠実に向き合うこと。マイノリティ属性を持った人を描くときには、当事者が傷つかないように、エンパワーメントできるような作品を作りたいと思っています。
Q.オン・オフの切り替えはどうしていますか?
A.基本的にはそこまで切り替わっていないかも。オフのときもいろんなことを考えているし、出勤して退勤しての生活ではないので、全てが地続きになってるんです。生きることが仕事であって、仕事することが生きることになってる。そのなかで、忙しいときは、アニメを観たり、ゲームをしたりして、頭をジャックしてもらってます。
Profile
山田由梨
作家・演出家。立教大学在学中に劇団「贅沢貧乏」を旗揚げ、以降全ての作品の作・演出を手がける。近年は演劇活動以外にも、ドラマ脚本・監督、小説執筆など活動の幅を広げている。『フィクション・シティー』(17年)、『ミクスチュア』(19年)で岸田國士戯曲賞ノミネート。Abema TVオリジナルドラマ「17.3 about a sex」「30までにとうるさくて」脚本。NHK夜ドラ「作りたい女と食べたい女」脚本。WOWOWオリジナルドラマ「にんげんこわい」では脚本・監督として参加。