2024.4.1

ホットケーキを焼く朝 haru.×山田由梨【後編】

PROJECT

月曜、朝のさかだち

 haru.

第8回『月曜、朝のさかだち』では、作家で演出家の山田由梨さんをゲストにお迎えしています。記事の前編では朝ごはんに「ホットケーキ」を焼いた2人が、山田さんのこれまでの作品に込めてきた思い、活動を通して見つめる社会の変化など、ボリューミーにお話いただきました。まだ読んでいない方は是非そちらもあわせてチェックしてみてくださいね。後編では、山田さんが携わったドラマ作品の制作裏、これからの働き方、苦手な冬との付き合い方など、今回もたくさんお話いただきました。

突っ走ってきた20代、そしてこれから

haru._中国はお見合いの文化とかもあるよね。両親が子どものパートナー探しをすごく頑張ったりして。そうなると、恋愛をする感覚とかも全然違ったりするのかな。でも中国は広いから、場所によって別の国ぐらい違いがあるかもね。

山田由梨(以下:山田)_南京とか、内陸の方でツアーをしたことがあるんだけど、北京や上海から一緒に行った人たちが「訛りが強くて言葉を聞き取れない」って言ってて。それぐらい違うんだってびっくりしたことがある。

haru._でも日本国内でもそうだよね。由梨のドラマにすごくいい反響が来ていたりするのを見ると、ちょっとずつ社会はよくなってるじゃんって思ったりするけど、地方の市長がセクハラ発言やありえない言動をして問題になってる様子をニュースで見ると、東京ってやっぱり特殊なのかなって思ったりする。

山田_一方で、揺り戻しみたいなものも起きているのかなって思ってる。セクハラやパワハラといったハラスメントに対して、「なんでもハラスメントになっちゃうとか、窮屈だよね」みたいな意見による揺り戻しみたいなものもある気がして。「そうだよね、窮屈だよね」っていう声がちょっとずつ大きくなっているような。でも、そんな揺り戻しがありながらも、少しずつ前に進んで、いい方向に変わっているはずって思いながら、たまにドキドキしたりする。

haru._舞台や劇場でやる作品って、割とその場で完結してる感覚があるのかなって思ってたんだけど、ドラマだと最近は全世界レベルで配信されたりするじゃん。

山田_『作りたい女と食べたい女(以下:つくたべ)』*①も、放送中に、海外配信していないのに、海外の人がすごく見てくれてるの。海外の人からのコメントも多くて、どうやって見てるのかはちょっとわからないんだけど、中国でも見られてるし、英語圏の人も見てる。きっと字幕も付けてくれてるんだろうな。

haru._そうだね。きっと熱烈なファンがすぐにやってるんだよ。

山田_そう、だからドラマの広がりはすごいなって思う。

haru._最近放送してたのはシーズン2だよね?

山田_そう、放送が終わったところ。すごくよかったよ。

haru._前回の『月曜、朝のさかだち』のゲストで来てくれた合田文さんもこの作品で考証に入っていて。すごく現場がよかったって言ってた。

山田_本当に、めちゃくちゃいい現場だったから、いい作品になったと思う。今回の『つくたべ』は原作があるんだけど、シーズン2が少し長かったから、シーズン1よりもオリジナル要素が結構多くなってて。でもこれはレズビアンカップルのお話だし、原作があるとはいえ、自分が知らない部分を知ったふうに書くことはできないから、レズビアンを自認している人たちにたくさん取材させてもらったんだよね。他にも、会食恐怖症の人とか、私自身がもっと勉強しないとわからないことを抱えている人を描くっていうこともあって、改めて勉強したり、取材させてもらったりした。

haru._由梨から見た現場はどうでしたか?

山田_シーズン1から引き続き同じチームでやってて、文ちゃんもプロデューサーさんの言葉が良かったって話してたけど、関わってくれた人たちみんなが、この作品の持つメッセージを正しく、より広がりがあるように届けなくちゃいけないっていう使命感を持っている人たちだった。日頃から、ジェンダーの問題や、性的マイノリティの抱える問題を敏感に察知して勉強している人たちだから、プロデューサー陣とも、すごくスムーズにいろんな話ができたの。「こういう描き方をすると、こういう風に取られてしまうかもしれないよね」とか、本当に一つひとつのセリフに対して敏感に考えなきゃいけないんだけど、それを同じレベルで考えたり検証できる。そういうことを蔑ろにしないっていう姿勢がすごくやりやすかった。そういう会話ができるメンバーで脚本を作りつつ、そこに何重にも考証とかで意見をもらったりして、すごく安心できる環境だったなって思う。

haru._由梨の制作の現場の話を聞いてると、やっぱりものづくりって、これだけの時間をかけていいんだなっていうのをすごく感じる。その題材について調べるとかもそうだし、何度も考証を重ねるとか、そこを粘っていいんだなっていうのをすごく毎回思います。

山田_時間かけていいし、やっぱり時間かけられる環境になってるかどうかがすごく重要。どうしてもコスパや効率よくみたいになっていっちゃうけど、そのなかで「自分がこの道筋を歩んでいるから、これが書けるんだ」っていう、実感みたいなものを持って書いてるときの方がやっぱり自分は安心するし、いい作品になるんじゃないかなって思う。

haru._そのプロセスが大事なものなんですよっていうのをどうやって伝えてる?

山田_これまでに、丁寧な仕事ができなくて嫌な思いをしたり、後悔したりすることもあったから今回の『つくたべ』に関しては、自分のちゃんと踏まなきゃいけないプロセスを蔑ろにする環境だと私はできないっていうことを最初に言わないといけないと思って、「こういう環境が自分には必要です」っていうことを一番最初に言ったの。あと、ドラマの脚本って、締め切りを重視されすぎて追い詰められちゃうこともよくあるから、「私にはこれぐらいの休みが必要です」っていうことも最初に言った。でも、そういう意見をわかってくれる人たちだったから、すごく気にかけてくれたんだよね。伝えることはすごく大事。仕事を受ける前に言うかも。「この環境じゃないとできないですけど、いいですか?」って。

haru._なるほど。これを聞いたのは、シンプルにどうしたらいいんだろうっていう気持ちだったんだけど、私も30歳手前で、同世代で頑張ってる人たちから、「今までとにかく突っ走ってきちゃって疲れちゃった」っていう声をすごく聞くんだよね。全部を急に投げ出せるわけじゃないけど、このままじゃたぶん無理みたいな状況で、どうしたら今までやってきたことを心地よく続けていけるんだろうっていうことを最近よく考えてる。

山田_わかる。私も20代で作った作品の数もすごく多かったし、突っ走ってきた感じなの。本当に忙しかったけど、そうやって重ねてきたものがあるから今があるって思っちゃうじゃん。でも、私は今、次々に作品を作りたいとか、あんまり思わないんだよね。今のモードなのかもしれないけど、前は仕事がないと焦るときもあって、次々やんないといけないっていう焦りがあったんだけど、今はむしろ、自分が一つひとつを大事にやれるかとか、無理しないかとかが大事。だから、仕事が空いたりしても焦らなくなった。ゆっくりした方がいいなって思ってる。ここで休もうかなとか、これにちゃんと向き合える隙間が今の自分にはあるかなとか。

めんどくさい人がいないと変わらない

haru._さっき由梨が言ってた、「私にはこれぐらいの休みが必要ですけど、大丈夫ですか?」って受ける前に言うのはすごく具体的でいいなって思った。やり方として、自分が頑張ればどうにかなるだろうっていう考えでは、ちょっともう難しくて。ずっとそうやってきたから、だいたい自分のペースは理解してきていて。

山田_あと、前と同じペースとか無理なんだよね(笑)。本当に物理的に無理じゃない?

haru._絶対無理(笑)。私たちが出会ったときの勢いみたいなものはないです。

山田_勢いでいろんなことをやってきたじゃん。でも今は、勢いをつけるのではなくて、1個ずつやっていかなきゃいけないみたいな感じ。勢いをつけなくても打ち返せる適切な角度みたいなものを自分で見つけて、この角度でこの力でみたいに丁寧にやらないとできなくなってきてる。

haru._でも、そういうのをちゃんと伝えないとなって今すごく思った。それがチームにとってもたぶんいいし、突然ばったり倒れていなくなるとかより。

山田_一方でこんなわがままを言っていいんだろうかみたいに思っちゃうかもしれないけど、それって今まで無理しすぎてたんじゃない?と思っていて。それっていろんな業界にある気がする。ドラマの脚本も、「この期間でこの話数をあげる」っていうことをやってきたけど、それはすごく無理をさせられてたんだと思うの。そんな状況でみんなやってたら、ずっとみんなが無理をし続けることになっちゃう。どこかでペースを緩めたり、作り方を変えたりしないといけないから、ちゃんと言わなきゃいけないって思った。でも同時に、そんなにわがままを言っていたら、自分がだんだん仕事しづらい人にならないかなっていう不安もあって。そういう自分の要望を言うって勇気がいることだから。

haru._自分がこれまでにこれを築いてきたっていう強い思いがあっても、金額の交渉のときもそうだけど、そういう瞬間に、「実はそんなでもなかったかもしれない…」って急に謙遜し始めるみたいなこともあって。その繰り返しですよ。

山田_だから、めんどくさい存在になってるかなって思いつつ、なっていかなきゃ変わんない。めんどくさい人がいなきゃ変わんないから。

haru._10年前の自分たちのことを振り返ると、私たちって怒ってたじゃない。「大人がやってくれないから今こうなってるんじゃん」って由梨と文句言ってたの覚えてるの。でも、自分が変えていかなきゃいけない世代になって、うちらがまだがむしゃらにやり続けたら、20代に対して「お前ら若いんだからもっとやれ」みたいになっちゃうじゃん。なんかわがままな感じでやっていこうかな。

山田_そうなんだよ。最近は、もうそっちの社会を作ってる側なんだよなっていうのも感じる。なんかビビるよね。

haru._ビビるよ。私が見ている由梨はいつも可愛い赤ちゃんキング(笑)。

山田_文ちゃんと私は割と赤ちゃん気質だからね。

震えながらも向き合い続ける ドラマの持つ力とは

haru._『17.3 about a sex』*②のときは高校生の話が主軸だったよね。私は、高校生のことを今はわからないなって思ったりした。

山田_あのドラマを書くときは、高校生に何回か話を聞かせてもらいながら書いたんだよね。この脚本を書いたのが、28歳ぐらいの頃だったから、自分が高校生だったのは10年以上前になる。わかった気になって書いちゃいけないなっていうのはすごく思って、取材したの。一方で、自分も性教育の知識がちゃんとなかったわけで。私はこのドラマがきっかけで勉強したけど、こんなことも知らずに大人になってるのかって思ったり、いかに性教育が足りなかったかを感じたんだよね。自分もまだいろんな知識を自分にインストールできてるわけじゃないから、頑張って勉強しながら、今の日本の社会を生きているティーンに、より伝わりやすいメッセージを届けたいって思ってた。自分も全然立派じゃないって気持ちと、こういうメッセージを自分の立場から届けたいっていう2つの自分がいたなって思う。

haru._自分の無知さにブルブル震えながらだよね。

山田_そう。いつも何を書くにしても、そんな感じ。ドラマを書くって、多くの人に一気に自分のセリフやメッセージが届くじゃん。そうなったときに、間違った情報を伝えちゃいけないって思うし、自分の知らない現実が、当事者にはたくさんあるはず。でも自分は当事者じゃない立場からいろんなことを書かなきゃいけないっていうことが常にあるから、無知に震えながら、いつも怖いなって思いながら書いてる。

haru._由梨の仕事を想像するだけで、ブルブルしちゃうもん。私がやってるのって、抽象度の高い表現だったりするけど、やっぱりドラマって、実在する人間がその生活を演じてるわけじゃん。ファンタジー作品じゃない限り、そこにほんのちょっとの違和感があるだけで、すごく気になってしまう世界だと思う。

山田_『つくたべ』でも、原作で本当に大事なメッセージが語られていたり、ドラマオリジナルの部分でもいろんなメッセージを書いたなと思っていて。その中で、「なんで日本って同性婚がまだできないんですかね。おかしいですよね」っていうセリフがNHKで流れるってすごいことだよなって思ったの。ドラマの持ってる力ってすごいことだなって思った。それを見た人が、そうだなって思って、もしかしたら選挙のときに影響するかもしれないし、当事者が見たときに、そのセリフがあることで助けになるかもしれない。社会は変わっていかなきゃいけないって思ったときに、ドラマのやれること、影響ってすごく大きいなって思う。

haru._ドラマは今後もやっていきたいなって感じですか?

山田_やっていきたいと思ってます。震えながらも、楽しく書きたい。

2人の考える、理想のケア方法

haru._心を大切にしながらだね。ゲストの皆さんに自分をほぐす方法を聞いているんですけど、朝起きてちょっと憂鬱だなって思ったりすることって誰でもあると思っていて、そういうときに由梨はどうしてる?

山田_私、冬が苦手じゃん?もうすぐ春だからだんだん暖かくなってきていいなって思ってるんだけど。大体11月ぐらいになってくるとだんだん調子が下がってきて、12月と1月が結構しんどい。冬になるとずっとテンション低いみたいなのが数年続いてて、私が元気なのって春と夏だけなの?って思って、少しげんなりしちゃったの。秋とか冬でもみんな仕事して頑張ってるのを見て、年の半分しか元気に働けない自分に焦ったりするんだけど、どこかでダメなのはダメだからしょうがないなって思ったりもしていて。

haru._冬はさ、活動の仕方をまるっきり違う人として生きてみるのはどう?

山田_それさ、結構考えてる。冬になると就職したいって思っちゃうの。

haru._すごくわかる(笑)!

山田_haru.もクリエイティブな仕事をしていて、自分のクリエイティビティを発揮するためには元気じゃなきゃいけないじゃん。ずっと元気でいるなんて無理だし、私たちは自分から出てくるものをアウトプットしてる。音楽にしても、ディレクションするにしてもそうだと思うんだけど、年中元気でいるのは無理。そうなると、私は秋から冬にかけて元気がなくなってきて、いつも「バイトしなきゃ」とか「就職したい」とか言い始めるの。それって、言われたことをただやりたいってことで、単純な作業とかに没頭したいなって思ったりするの。もっとシンプルなことがしたいって思うようになるんだよね。

haru._私も検品したり、チケットもぎったりしたい。

山田_そういう社会の一部になりたい。それも尊いじゃん。自分が普段やってることが、何かを生み出さなきゃっていうプレッシャーや、自分のメッセージを常に求められることにすごく疲れる。

haru._生み出せないときない?会議室で「haru.さんはどう思いますか?」って聞かれたときに、「何もないです」みたいな(笑)。

山田_そうなんだよ。そういう時があるし、私の場合は明確に、冬がダメなバイオリズムで生きてるから、そうなったら冬は暖かい地域に行って、住み込みで働きたいとか思ったりする。

haru._それいいね。今年やってみたら?

山田_やってみたい。期間限定の季節制の仕事を探して行けばいいのかな?あともう1つ、自分の名前で仕事してるじゃん?履歴書とか書くときにどうしたらいいんだろう。

haru._偽る?

山田_偽っちゃダメでしょ(笑)。でも何も書きたくないの。人として、誰でもない自分として働きたいって感じ。私たちは自分の生き方とか、メッセージを割と発信してると思うんだけど、誰でもない自分でいたいときってあるよね。

haru._そうだね。元気なときはそういうことを感じないし、むしろ取材してもらっていい記事ができると嬉しいなって思うんだけど、調子が悪い時は、「また自分を間違ったふうに捉えられる要素を、自分で世に解き放ってしまった」って思っちゃうの。

山田_まじわかる。しかもそれって本当によくないときだよね。嘘ついてるわけじゃないんだけど、正直「ここまで思えてるわけじゃないのに、これ言っちゃってるな」って思う時もあるし、調子悪いときに取材されて、喋らなきゃいけないときもある。でも、少しだけ元気でいられる自分もいるから、その自分をキュッと出して、外向きに喋ったりする。でも、そんな自分と、家に帰ってドーンって落ち込んでる自分とのギャップに嘘ついてるような気がして、「私、元気じゃないです」って言いたくなったりするんだよね。写真を撮られるときには、綺麗にしてもらってるし、自分でもちゃんとコーティングしてるの(笑)。

haru._その自分が良く評価されても辛いんだよね(笑)。

山田_そうなの(笑)。普段家ではひどい格好してますよって(笑)。

haru._チームと相談しながら、1ヶ月とか2ヶ月、違う生き方をしてみたいなって思うし、それをいつか実践したいと思ってる。

山田_2拠点生活をしてる人もいるじゃん。移住したりとか。でも、私もharu.も、就職せずにここまで自分のやりたいことや、好きなことでやってこれていて、それってすごく幸運なことだったと思うの。でも、その生き方しかしてないから、その生き方に急に焦ったりしない?

haru._焦る。

山田_好きなことだけをやるっていうのが、かっこいいっていう社会の風潮もあるけど、でも副業しながら生きていくのも豊かなことなんじゃないかなって思う。

haru._人として不十分なんじゃないかなみたいな気持ちになることがある。何かを作るときに、「なんてちっぽけな世界から作っているんだ」って自分に思ったりするの(笑)。

山田_haru.もそういうこと思ってるんだ。どうする?

haru._沖縄行って仕事得る?

山田_いいかも。とにかく暖かいところに冬は行きたい。でも、沖縄が一番忙しいのって夏の観光業じゃん?冬とかどうなんだろう。

haru._国を変えるのがいいんじゃない?台湾とかタイとか行ってもいいかもね。仕事はないかもしれないけど(笑)。

山田_仕事見つけられたらいいけどね。

haru._わかった。タイとかに行って、2人でいろんなもの見て、自主制作の謎のショートムービーとか録ろう(笑)。

山田_録る録る!(笑)。それは普通に楽しいだけじゃん(笑)。

haru._そういうことをして回復するのもいいかもね。

山田_普段の自分の流れから切り離して行くのはいいかも。

haru._1人じゃないから、知らない土地でもちょっと冒険できるかもしれないし。2週間でもいいかも。

山田_結構十分じゃない?私そのままちょっと滞在して職探しするかもしれないけどいい?

haru._わかった。先に帰るわ。私たちの理想的なケアの話をしてみたんですけど、皆さんも実現しなくても、どうやったらいい気分で休めるかを考えてみてほしいですね。

山田_それって、今の自分が生きてる現実だけじゃないっていう可能性を考えることだし、ちょっとしたエスケープな感じがするよね。他の可能性もあるかもしれないって思いたいよね。これしかやっていかないのかなって思うと、窮屈になるときがあるし。

haru._別に2週間、うちらが何もしなかったところで何も変わらないしね。

山田_変わらない。てか私はまじで冬に全然仕事してないから、毎日ちゃんと働いてる人は偉いなって思うし、同時に勇気を出して休んでほしいって思う。

*①『作りたい女と食べたい女』
人気漫画『作りたい女と食べたい女』を原作に制作され、NHKで2022年(シーズン1)、2024年(シーズン2)に放送されたドラマ。女性同士の恋愛関係や、友人たちとの関係性から映し出される社会の不平等や、生きづらさ、そして喜びを描いた作品。

*②『17.3 about a sex』
2020年にABEMA SPECIALで配信されたドラマ。恋愛、セックス、体の悩み、そして女性であるということ。性に対して異なる考え方をもつ17歳の親友3人組は、さまざまなことを学びながら、この複雑な世界で少しずつ成長していくストーリー。

山田由梨さんに聞きたいコト

視聴者さん、読者さんから集めた「ゲストに聞いてみたいこと」にお答えいただきました。今後も『月曜、朝のさかだち』に遊びに来てくれるゲストのみなさんに聞いてみたいことを募集しているので、ぜひORBIS ISのSNSをチェックしてみてくださいね!

Q.山田さんが、ふと「素敵だな」と思う人はどんな人ですか?

A.素敵だなって思う私の周りにいる人たちの顔を思い浮かべたら、みんな笑顔が素敵です。自分の信念が強くて、曲げることができなくて苦しそうになってる人も好き。でも素敵だなって思う要素って一人ひとり違うので、みんなそれぞれ素敵なところがあると思います。

Q.最近読んだ本を教えてください。

A.ジーン・シャープの『独裁体制から民主主義へ』を仕事関連で読みました。国家だけでなく、身近な独裁体制ってあると思っていて、それらを解体するには長期的な戦略が必要だということが書かれています。今あるデモ活動や、セクハラやパワハラに対して応用できるヒントがあるなと思いました。

Q.好きな言葉を教えてください。

A.作家のカフカの言葉「いちばんうまくできるのは、倒れたままでいること」です。わたしもそうだなあと思って笑っちゃうから。前向きで自分をエンパワーメントしてくれる言葉もいいけど、マイナス思考なカフカの言葉だからこそとても共感できるときもある。みんな絶望しながら、作品を残してるんだよなとか、同時に、絶望しているから作家をやっているのかもしれないと思ったりします。

Q.自分らしいリカバリーの方法ってありますか?

A.自分らしいのはないかも…温泉施設に行くとか、寝るとか、ふつうかも。寝るのが好きだから、一回めっちゃ寝ます。あとは、自分が落ち込んでいる状態のときに、人にそのことを話してみることが大事。解決はできなくても、現状を受け止めてもらうことで、軽くなったりするんです。

Q.小さい頃の夢は何でしたか?

A.幼稚園生の頃、当時一番素敵な大人って、幼稚園の先生だったんです。私も小さいのに、自分よりも小さい子の面倒を見ていたみたいです。そのあとは、小学生のときから子役をやっていたので、大人になっても俳優をやりたいと思っていました。まさか、書く方になってるとは思ってなかったけど(笑)。

Profile

山田由梨

作家・演出家。立教大学在学中に劇団「贅沢貧乏」を旗揚げ、以降全ての作品の作・演出を手がける。近年は演劇活動以外にも、ドラマ脚本・監督、小説執筆など活動の幅を広げている。『フィクション・シティー』(17年)、『ミクスチュア』(19年)で岸田國士戯曲賞ノミネート。Abema TVオリジナルドラマ「17.3 about a sex」「30までにとうるさくて」脚本。NHK夜ドラ「作りたい女と食べたい女」脚本。WOWOWオリジナルドラマ「にんげんこわい」では脚本・監督として参加。

photography: miya(HUG) / text: kotetsu nakazato
 

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