2024.7.8

プランター菜園を始める朝 haru.×maco marets【後編】

PROJECT

月曜、朝のさかだち

 haru.

『月曜、朝のさかだち』第11回目のゲストには、ラッパー、作詞家、詩人のmaco maretsさんをお迎えしています。記事の前編では、朝活としてプランター菜園を始めた二人が、出会いとこれまでの共作を振り返りながら、ラップを始めたきっかけや、年齢を重ねるごとに意識するようになった自分自身のルーツについてお話しいただきました。後編では昨年リリースされたアルバム『Unready』の制作秘話、リリースから数ヶ月経った現在の心境やこれからについて、そして自身のほぐし方についてお話しいただきました。

共に作った『Unready』の制作秘話

haru._去年の8月30日に7作目となるアルバム『Unready』がリリースされましたけど、私たちHUGがアートワークを作らせてもらったんですよね。言葉についてさっき話していたときに、常に自分を脱皮し続けるって話していたけど、私がブアくんに対して感じる職人的な部分って、そういうところな気がしていて。常に自分のやり方で脱皮を繰り返しているみたいな。携わらせてもらったこのアルバムからも、それを今までよりも強く感じた。

maco marets_楽曲を送ったときに、「修行みたいなアルバムだった」って返ってきて、なるほどと思った。自分の中でも『Unready』ってタイトルもそうだけど、作品全体として一個エクストリームな表現をするっていうよりかは、今の自分が抱えているエクストリームにいけなさそのものを作品の中で表現するっていうコンセプトを持っていた気持ちでいたから、確かに修行だったかもって思った。

haru._そうだよね。ミュージシャンとお仕事したりすると、「この曲がこのアルバムのブースターなんだ」みたいなことを言われることもあるし、こういう方向性なんだろうなって思うこともあるんだけど、『Unready』を通して聞いていて、あまりどれかの曲にすごく勢いを感じたり、エンジンここでふかすんだ!みたいなポイントはなくて。ブアくんが何度も脱皮を繰り返して、めちゃくちゃ綺麗に脱がれた殻みたいなものが整列してる感じ(笑)。どれがメインの皮ですみたいなのがなくて、それが修行みたいな印象を受けたかな。

maco marets_確かに、でっかいブースターみたいなものがない感覚はすごくあって。『Unready』には12曲が入っているけど、それぞれの印象がそこまでバーンと前に出てくるようなものじゃないんだけど、12曲の印象が重なって重なって、なんとなく12曲全部で一個のシルエットが作れたらいいなっていうのは考えていた。

haru._12曲全部で『Unready』なんだなっていうのはすごく思った。

maco marets_そういうふうにできたらいいなっていうのは思ってたから、それが伝わってくれてたらすごく嬉しい。

haru._アートワークのカバー写真は五島列島で撮影したんですよね。

maco marets_一緒にみんなで行きましたね。

haru._いつも私たちが五島列島に行くとアテンドしてくれる、五島列島の隅から隅までを知り尽くしたフォトグラファーの松本治樹さん*①が、アートワークのフォトグラファーを担当してくれたんだけど、本当にカバー写真のイメージもないまま私たちは飛び立ったんだよね。

maco marets_何かきっといいものが撮れるはずジャンっていう、その感じだったよね(笑)

haru._お仕事をしていると、あんまりそういうことってなくて。過程で拾い集めたものを出すことはあるけど、ある程度こういうアウトプットに最終的になりますっていうところを決めてから走り出すから、とりあえず五島列島行くみたいなのはあんまりない。でもすごくいい体験として私の中に残ってる。みんなで朝日とか見たね。

maco marets_すごい早起きしてね、毛布にくるまって車に乗って。フォトグラファーの治樹くんが朝日がよく見える畑みたいな、ちょうどいい畦道に連れていってくれてね。

haru._素人じゃ絶対にわからないようなね。アーティスト写真も、菜の花畑の中にブアくんが立っている写真なんだけど、それも車で走ってたらたまたま見えて、ちょっと止まって撮ろうよみたいな感じで撮った写真が結局アー写になったんだよね。アルバムのカバー写真は、楽曲「Kariyado」のイメージがそのまま形になったと思ってる。あれは鬼岳*②で撮影したんだけど、丘の前にブアくんが立ってて、夕日を見つめてるみたいな感じ。夕日を見つめてるっていうよりかは、ふとそっちの方を見たっていう、かなり自然な瞬間を切り取っている一枚なんだけど、それを見た瞬間に、これだ!っていう感じになった。

maco marets_あの写真、いつ撮られたのかもあまりわかっていなかったやつ。こんなショットあったんだってくらいだったんだけど、それがすごく作品のトーンというか、向いている方向にすごく合っていた。haru.ちゃんも「これじゃん!」みたいな感じで決め打ちで出してくれて、じゃあきっとこれだって思った。最初は、こんな僕の首でいいのかなみたいな感じだったけど(笑)。

haru._衣装もsuzusan*③っていうブランドのニットを着てくれていて、その下からTシャツもちょっと見えてるんだよね。それがまた自然でいいじゃん!みたいになったんだよね。「Kariyado」の朝日が登っていく感じ。曲を聴くと、すごく迷っていたし、まだ迷ってるんだけど、ここにずっといるわけではないから、このままでも今は一旦いいというか。でももう次を見てるんだよね。体はここにいるけど、次をもう見ているみたいな感覚になるんだけど、それが写真にもすごく出ていて、総じてすごく好き。

maco marets_写真が決まったときに、HUGチームのみんなにお願いしてよかったなってすごく思った。自分で自分のことって、わかるようでわからないから、例えばさっき言ってくれたように、僕だったらTシャツが出てる写真は使わないとか思っちゃう。それに自分の肉体があまりにも出てるものってどうなんだろうってちょっと立ち止まっちゃう時もある。自分ではあまりいいと思えないような自分の姿を、「これがいいじゃん!」って言ってくれる人たちであるというか。自分では認めきれなかった自分の姿を見て、認めてくれる人たち、そういう信頼みたいなものからお願いしたところもあったから、それで写真が出てきたときに、これこそがHUGチームにお願いして作りたかったものの形なんだろうなって自分の中ですごく「これだ!」っていう感じになった。たぶんこれで単純に、プロップとかを作っておしゃれなルックを撮影するとかだったら、きっとHUGと一緒に作るっていうことの意味と少しまた離れていた気がする。

haru._嬉しい。今回はあまり綺麗にしないほうがいいっていうのは、ブアくんの脱皮コレクションを想像しながらすごく思っていた。もちろんこの写真は美しいんだけど、人間の泥臭さじゃないけど、そういうものを感じられた方がたぶん楽曲の作られた工程というか、そういうものには合いそうだなって。

maco marets_本当に、最初に特に最終形態を決めずにっていう感じではあったけど、ずっと寄り添って作ってもらえたんだなっていう感じがあって、それは僕としても幸せな制作体験でした。

haru._アウトプットしたものにお互いが納得してるってことはすごく大前提で大事なんだけど、そこの信頼みたいなものがないと私の仕事って成立しないんだなってすごく今思った。ブアくんが写真を見て、自分の体が全面にあって気になるとか、Tシャツが出てるのが気になるとか、そういうのがあっても納得いくことがある。信じてじゃあこれにしようって言ってくれることが、私の仕事においてはすごく大事だし、信頼関係があってこそだなって思う。

アルバムジャケットの12個の点

maco marets_クライアントワークとかだと、自分が信じてこれですって言ったものに対しては割とNGが出ることもある?

haru._全然ある。それを乗り越えることってすごく難しい。正しさってなくて、人によって違うから、私とブアくんの信頼の形がたまたまハマったというか、これが信頼の形だよねっていう感覚が合っていたからこそ成せる技だった。その信頼の形が違うと、やっぱりハマらないの。いいものにしようっていうゴールは見えてるんだけど、相手を信じるみたいなところのやり方が違うと、ちょっと難しいなっていうのは日々感じてる。

maco marets_信頼関係ってすぐに築けるものでもないし。初見でもバッチリ合う人ももちろんいるとは思いつつ、僕も7作目にしてようやくお願いできたのも、たぶん自分の中で今だったらHUGやharu.ちゃんにお願いして、いいものができるんじゃないかなっていう感覚があったから、初めてお願いさせてもらったんだよね。

haru._確かにそれあるよね。ブアくんが誰にも頼ってない感じを感じたの。なんというか、受け入れる過程を作品のなかでやってるというか。自分の核となるものはわかってるから、あとは私たちが一緒に作ったもので、きっと満足いくものができるんだろうなっていうか、そこの余白をすごく感じたから、入っていきやすかった。ぜひアルバムも聴いてほしいし、ジャケットも見てほしいんですけど、ジャケットには黄色いインクの点が12粒乗っているんです。その点は、私たちが泊まっていた、范冰冰(ファンビンビン)*④っていう治樹くんがやってる宿があるんですけど、そこのキッチンにあった時計からインスピレーションを受けているんです。数字が並んでる文字盤があって、その形をトレースしていて。

maco marets_数字が丸く綺麗に並んでるんじゃなくて、ランダムに数字が配置してある時計だったんだよね。

haru._すごくいびつな形をしていたんですよね。デザイナーの片岡亮介くん*④がジャケットに、その点を描いてくれたんだけど、最初はすごく綺麗に並べてくれてたの。でも綺麗すぎるってなったんだけど、変に位置をズラすと、意味がついちゃうからどうしようって話していたときに、そういえばファンビンビンの時計の文字盤って変だったなっていうのを思い出して、その文字盤の数字の並びをトレースした円形にしたんです。

maco marets_その気づきは天才ですね(笑)。

haru._白Tシャツがちょっと出ちゃってるとか、そういうテンション感で円形が綺麗なことが気になっちゃったの。でもあれもやっぱり、ブアくんが積み重ねてきた12曲という時間、楽曲が時計のように並んでいるように見せたくて。時間の経過や重みみたいなものもそこに込められたらいいなっていう感じです。

maco marets_本当にいろんな意味合いがシンボルの中に重ね合わされていることに感動しました。あのアートワークが来たとき、びっくりしちゃって。黄色の色や形は菜の花から取っていたりね。

haru._アー写を撮影したときの菜の花から抽出したんだよね。たぶん私たちしかわからないけど(笑)。

maco marets_この点々ってどういう意味なの?って結構聞かれるんだけど、すごく説明するのが難しい。時間を表すっていうのはあるけど、直接楽曲のリリックに関わってるわけじゃなくて、今話してきたようなエピソードとかが込められてるから、意外と人にパッと説明するのが難しい。前置きしながらじゃないと話せなくて(笑)。でもそれもいいなって思っていて、一言でこれはこれなんですっていうだけじゃなくて、いろんな背景を説明することもいいなって思う。

haru._このPodcastを聴いてもらえたらいいね(笑)。

maco marets_確かに。このリンクを送ればいいですね(笑)。説明が省けるということで。

音楽ではないアウトプットもしていきたい

haru._このアルバムは「原点回帰のようなアルバムです」って言っていたけど、これを出してもうすぐ1年近く経つけど、何か変化とかありますか?

maco marets_原点回帰っていう言い方を自分でもしていて、本当にデビュー当時の曲の作り方とかでやってみたりとかしたんだけど、そうやってみると、全部元の場所に戻ってきた感覚があって。僕が作品を作り続けてきて、いろいろ試行錯誤を重ねてきたのが、円を描いてスタートに戻ってきた感じがあった。すごくフラットになっちゃった。『Unready』を作るまでは一定の傾きというか、こっちに進んでみようかなみたいな矢印がなんとなく自分の中にあって、それに沿って作品作りをしている感覚があったんだけど、『Unready』を作ってしまったことによって、今はどうこの足を次に進めようかっていうのが迷子になっちゃってる。最近も曲は作ってはいるんだけど、『Unready』の後ほとんど自分の新曲をリリースしてない。ちょっとやばいの。作ってはいながらも、maco maretsとしての次の作品ってこういうことなんだっけ?っていうのがあらゆる段階で襲ってくるというか。一段落しちゃったんだよね。タイトル的にもまだ準備できていないっていう意味で、これから行きまっせ!って気持ちだったはずなんだけど、スンってしちゃった。迷子なうです。

haru._そういうのってどうしようもないよね。きっと時間が経ったり、ブアくんの状況が変わったときに何かが降ってきたりするのかもしれないね。

maco marets_ラッパーって名乗ったときに、まずは音楽作品を世に出し続けなきゃいけないっていう感覚はあるんだけど、同時にもしかしたら一旦他のことをやってみてもいいのかなとも最近は思ってる。

haru._私の中ではブアくんはラップじゃなくても、言葉を紡ぐお仕事とかをしてるイメージもある。

maco marets_数は限られてるけど、メディアとかで詩を書かせてもらったりする機会もあるね。音楽で何かをアウトプットできるモードに持っていけるまでは、そういう方向とかもやりながらっていうのも最近はいいかもなって思ってる。

haru._それすごくいい。ブアくんにとってはラップが本業みたいなことになると思うんだけど、大人になって新しい表現を試そうっていう気持ちにあまりなれない気がしていて。自分のモチベーションもそうだけど、周りにその道のプロがいっぱいいるじゃん。でも別にそんなのみんな知らないじゃん。だからやればいいじゃんってみんな思うだろうし、別に誰にも言わなくても、自分がそれをやっていて嬉しくて楽しいんだったらやればいいしって自分に対して思う。だから、新しい表現を試すことを遠慮しなくていいし、それをやることで自分の本業に何かバックがあるかもしれない。なくても別にいいし。凝り固まってるなっていうのは自分にも思う。

maco marets_わかる。いろんなことに自由に手を出して、どんどん新しい回路を自分のなかに入れていくっていうのは自分が作りたいものを作り続けていく意味でもすごく大事なのかなっていう気がする。土いじりするだけでもその土の感覚とか、いろんなフィードバックが自分のなかにある気がしてる。

haru._わかる!土いじりめっちゃ楽しかった(笑)。やってる時は結構無心で黙々とやってたんだけど、プランターが完成した瞬間にすごく嬉しい気持ちになった。このまま育てていって、みんなでまたそれを使ってご飯とか作って食べたりとかしておしゃべりしたらめっちゃ楽しそうみたいな気持ちになって、新鮮な喜びが襲ってきた(笑)。

maco marets_自分がやったことのないことに挑戦する時って、たぶんそこでしか得られない喜びとかスパークルがあっていいよね。でも一人でやろうと思うとハードルがあるから、こういう形でやらせてもらえるのはありがたい。今日も先生に教えてもらったじゃないですか(笑)。

haru._記事をいつも書いてくれてる虎鉄さんがお家でもいっぱい育ててるということで、私たちにも教えてくれたんですけど、先生いなきゃ無理だった(笑)。

maco marets_ああやって一個一個教えてもらいながらできるっていうのはすごく良かったよね。

二人が築き上げてきた信頼関係のかたち

haru._ブアくんの表現が変わっていっても機会があったら見せてください。音楽以外でもブアくんの表現が見れるのは楽しみ。

maco marets_普段は音楽のことばっかりやってるから、いろんな違った形でももう少し頑張りたいなっていうのは本当にあるので、エイって投げつけます。

haru._楽しみにしています。ゲストの皆さんに共通で聞いている質問があるんですけど、落ち込んだりうまくいかないときに、どうやって自分のことをほぐしていますか?

maco marets_これも日課としてやってることなんだけど、読んだ本の内容を写経みたいに書き起こすっていうのを割とやる。それはすごく自分のなかでは癒しというか、ほぐしてくれる作業になっていて。土いじりっぽい感覚というか、言葉をガサガサガサってやる感じ。

haru._本を読んで自分の気になったフレーズや、いいなと思ったものを書き写してる感じ?

maco marets_そうそう。めっちゃ付箋とか貼るんだけど、自分のなかにより刻み込んでいたいなみたいなものがあったら、書き写してる。その時間は他のことを忘れられるというか、作業的にもずっと書き写すっていう作業だから、いろいろ考えながらっていうよりかは、手をずっと動かすっていう感じ。ちょっと労働っぽいんだけど。

haru._私も一時期、あるトピックについて勉強したいときに、同じことをしてたな。手書きで写す部分もあれば、長かったらプリントアウトして切ってコラージュにしてみたいなことをやってた。確かに無心になれるし、いつの間にかその言葉が自分のものになっていく感覚があって、私が植物や土になったというか、水やシャワーを浴びてる感覚になってリラックスするっていうのがあったかも。違う感覚かもしれないけど。

maco marets_同じ感覚な気がする。いかに栄養として自分に与えてあげられるかみたいな感じ。もちろんただ読むだけでもいいけど、そういう作業を一つ通すことでより栄養価が高くなる(笑)。

haru._読んでいいなって思うのもあるけど、それってまだ自分のものではなく、外の情報みたいな感じ。でも写すことで、いいヒントを得られた感じがするよね。

maco marets_その気になることが結構大事。どれくらい残ってるかわからないけどね。

haru._ふとしたときに思うことがあるかも。この考えってたぶんあの人のあの考えがベースにあるかもしれないとか。

maco marets_自分のなかで繋がってくるよね。

haru._あとノートとかに残るのもいいよね。

maco marets_僕も一回デジタルで抜書きをしてたことがあるんだけど、最近紙に戻した。やっぱりちょっと感覚が違うんだよね。

haru._画面上の文字って自分のものではない気がしちゃう。この後メールで送ったり、資料としてシェアしなきゃいけないのかなっていう気持ちになっちゃう。デジタルだと自分だけのものっていう感覚がない。クラウドやドキュメントサービスは吸い取られてる感覚になっちゃうんだよね。だから紙の方がよりパーソナルに感じてる。

maco marets_複製できない粗みたいなのが自分のノートにはある感じがする。

haru._別に誰もいらないだろうけど、金庫とかに入れておけばそこにしかないものじゃん。それが楽しいなって思う(笑)。私も今朝シャワー浴びながら、ブアくんとどういう話をしたいかって考えてて。いつもシャワーでひらめくんだよね。なんでかわからないけど。

maco marets_なんか作用するものがきっとあるんだろうね。

haru._でも水を浴びるのがすごく気持ちいいみたいな感じかも。

maco marets_水っていいよね。

haru._私たち魚座だからね(笑)。お魚チームなのでお水はラッキーアイテムかもね。

maco marets_確かに移ろい、形が定まらないもの。

haru._そうだね。それが共通点だなっていつも感じる。

maco marets_普段からものすごく考えをシェアしてるわけじゃないけど、そのすごい根っこの物事に対する感覚が割と近いと思っていて。だからこそさっきの作品作りのときの話にも出たけど、信頼感みたいなのがあるなって思う。

haru._『Unready』作ったあとに今、立ち止まっちゃったって言ってたと思うんだけど、全然わからなくないっていうか。「そっか」って思うの。だからこそ他のことをやったらすごくいい刺激になりそうだなっていうのもわかる。今のブアくんのムードをすごく感じる。

maco marets_こういうPodcastの機会をもらえるのも、僕にとってはすごくありがたい。

haru._番組も一周年を迎えるタイミングだし、ブアくんの楽曲も使わせてもらっていたから、2年目のトビラを開ける新たなスタート地点に立てた気がします。何か告知があればぜひお願いします。

maco marets_ちょうどこのPodcastが公開されている頃だと思うんですけど、maco maretsが8周年を迎えることになっていて。今日も音楽作品以外のアウトプットもっていう話があったと思うんですけど、初めて詩集『Lepido and Dendron』*⑤を作りまして。きっとこのPodcastが配信されている頃にリリースされる予定で、今はそのためにいろいろ頑張っているので、ぜひそちらもInstagramなどで告知すると思うので、チェックしてもらえたら嬉しいです。

*①松本治樹さん
五島列島を拠点に活動する写真家。一棟貸しの宿「范冰冰(ファンビンビン)」も運営している。

  *②鬼岳(おんだけ)
長崎県五島市上大津町にある標高315メートルの火山である。西海国立公園に指定されている。
 
*③suzusan
江戸時代から続く日本の伝統工芸「有松鳴海絞り」。鈴三商店の5代目が、愛知県有松に工房を持ち、ドイツ・デュッセルドルフで2008年に立ち上げたブランド。設立当初より、企画はよりグローバルな地域を俯瞰できるドイツで、生産は絞りの産地である有松で行う。針で縫う・糸で括る・板で挟むといった素朴な技法を通じて、何百種類もの柄を生み出す絞り染め。全ての作業を手で行うため、ひとつとして同じものが存在しないのが特徴。
「世界中のライフスタイルに合う手仕事を」というコンセプトのもと、長年に渡り伝わってきた伝統の技を引き継ぎ、人々の生活に寄り沿うものづくりを行う。

  *④范冰冰(ファンビンビン)
写真家の松本治樹さんが運営する、五島列島福江島にある一棟貸しの宿。

  *⑤詩集『Lepido and Dendron』
2024年6月15日、maco marets CDデビュー8周年の節目に際して制作された自身初の詩作品集。2021年以降、ストリートカルチャーマガジン『HIDDEN CHAMPION Magazine』や『3.5 magazine』といった媒体で発表した作品たちに書き下ろしの新作をくわえた、詩人・maco maretsとしての足跡とその現在地をあらわす全25篇を収録。
https://macomarets.thebase.in/items/87080495


maco maretsさんに聞きたいコト

視聴者さん、読者さんから集めた「ゲストに聞いてみたいこと」にお答えいただきました。今後も『月曜、朝のさかだち』に遊びに来てくれるゲストのみなさんに聞いてみたいことを募集しているので、ぜひORBIS ISのSNSをチェックしてみてくださいね!

Q.どんなときにリリックを書きたくなりますか?

 

A.生活のなかで、ちょっとしたボタンのかけ違えのような、違和感のようなものを覚えたとき。自分と、誰か他者との関係において損なわれているもの、ある種のままならなさを意識したとき。「それは克服できるものだろうか?」「できるとしたら、どうやって?」際限なく続く問いかけを、リリックを書く動機にかえているような感覚です。

Q.人とコラボレーションするときに意識していることは何ですか?

 

A.音源、ライブ、映像などその形態に関わらず、制作を共にする相手への信頼を忘れないということ。自分の持つこだわりは大切にしつつ、ときに揺るがされる自意識、その変容をなるべく柔軟に受け入れるということ。当然、多くの困難をも伴うプロセスですが、その関わりあいの中から生まれるものこそ愛おしみたいと思っています。

Q.影響を受けたミュージシャンは?

 

A.最初に思いつくのは地元・福岡に拠点を置く音楽レーベル「Oil Works」のプロデューサー、Olive Oil氏。サウンドやアートワーク等も含めて独自の世界観を作り上げている様がカッコよくて、今でも憧れの存在です。それから同じく福岡出身のアーティストであるSmall Circle of Friends。その洒脱なスタイルは、maco maretsが実践を試みている作品づくりのモデルになっていると感じます。

Profile

maco marets

1995年福岡生まれ、現在は東京を中心に活動するラッパー/作詞家。2016年に1stアルバム『Orang.Pendek』で「Rallye Label」よりCDデビュー。その後セルフレーベル「Woodlands Circle」を立ち上げ、自身7作目となる最新アルバム『Unready』に至るまでコンスタントに作品リリースを続けている。近年はEテレ『Zの選択』番組テーマソングや、藤原さくら、さとうもか、Maika Loubté、Mashinomi、Shin Sakiura、LITEなどさまざまなアーティストとのコラボレーションワーク、またメディアでの執筆活動でも注目を集める。

photography: miya(HUG) / text: kotetsu nakazato

PROJECT back number

vol.1
2024.09.30

かき氷を作る朝 haru.×野崎浩貴【後編】

vol.2
2024.09.17

かき氷を作る朝 haru.×野崎浩貴【前編】

vol.3
2024.09.02

丹沢湖でサップをする朝 haru.×Jo Motoyo【後編】

vol.4
2024.08.19

丹沢湖でサップをする朝 haru.×Jo Motoyo【前編】

vol.5
2024.08.05

お布団を干す朝 haru.×小谷実由【後編】

vol.6
2024.07.24

お布団を干す朝 haru.×小谷実由【前編】

vol.8
2024.06.24

プランター菜園を始める朝 haru.×maco marets【前編】

vol.9
2024.06.11

朝活イベント『日曜、朝のさかだち』で交わるみんなの声

vol.10
2024.05.27

「服を交換する」朝 haru.×山口祐加 【後編】

vol.11
2024.05.13

「服を交換する」朝 haru.×山口祐加 【前編】

vol.12
2024.04.30

「雑誌の図書館」で歴史をたどる朝 haru.×後藤哲也【後編】

vol.13
2024.04.22

「雑誌の図書館」で歴史をたどる朝 haru.×後藤哲也【前編】

vol.14
2024.04.01

ホットケーキを焼く朝 haru.×山田由梨【後編】

vol.15
2024.03.25

ホットケーキを焼く朝 haru.×山田由梨【前編】

vol.16
2024.03.04

冬の海辺を歩く朝 haru.×合田文 【後編】

vol.17
2024.02.19

冬の海辺を歩く朝 haru.×合田文 【前編】

vol.18
2024.02.05

「パルクールで壁を超えていく朝」haru.×田中嵐洋【後編】

vol.19
2024.01.22

「パルクールで壁を超えていく朝」haru.×田中嵐洋【前編】

vol.20
2023.12.04

ラジオ体操で身体をほぐす朝 haru.×寺尾紗穂 【後編】

vol.21
2023.11.20

ラジオ体操で身体をほぐす朝 haru.×寺尾紗穂 【前編】

vol.22
2023.11.06

アートとベルリンを巡る朝 haru.×Nao Kawamura 【後編】

vol.23
2023.10.23

アートとベルリンを巡る朝 haru.×Nao Kawamura 【前編】

vol.24
2023.10.02

いつもとちがう場所に自分を連れていってみる miya

vol.25
2023.09.18

キックボクシングをする朝 haru.× 阿部裕介

vol.26
2023.09.04

美味しく食べた記憶が習慣を生んだなら miya

vol.27
2023.08.21

おにぎりを握る朝 haru.× 横澤琴葉

vol.28
2023.07.19

はじめての『月曜、朝のさかだち』を振り返る miya

vol.29
2023.06.26

自分の「ほぐしかた」、知ってる? haru. ×Kaho Iwaya