入社5年目で『ORBIS magazine』副編集長に抜擢 120万人のお客様に届くカタログ制作で掴んだ、マーケティングの本質とは
JOB&CULTURE
こんにちは。採用広報の仁尾です。
オルビスのマーケティングの特徴であり強みのひとつに、アプリやメルマガ、コールセンターなどお客様との接点の多様さが挙げられます。中でも 月刊カタログ情報誌『ORBIS magazine』は、月刊最大120万部 を発行し続けている、オルビスのダイレクトマーケティングの根幹ともいえるマーケティングツールです。
CRM※統括部 CRM制作グループで『ORBIS magazine』の副編集長を務める椎川聡智歩さんは、新卒で入社してすぐチームに配属されて以降、カタログを中心に幅広い媒体の制作を経験するなど、マーケティングの最前線で活躍してきました。
しかし配属当初、「実は紙のカタログって、将来性がないと思っていました」という椎川さん。その考えが転換したきっかけはなんだったのでしょうか。また、デジタルマーケティング全盛の時代において、カタログの持つ強みや役割は何かなど、疑問をぶつけました。
※CRM:顧客満足度を高め、長期的な関係を築くためのマーケティング
デジタルマーケ全盛時代に、根幹であり続ける『ORBIS magazine』
——最初に、椎川さんの現在のお仕事内容について教えてください。
CRM制作グループに所属し、昨年からは『ORBIS magazine』の副編集長としてカタログ全体の企画設計から制作ディレクションまでを担当しています。商品戦略や年間の販売計画を立案するMDチームから毎月の商品展開方針が共有されるので、そうした狙いを「誰に、何を、どのように届けるか」という観点で突き詰め、クリエイティブに落とし込んでいます。
9名のチームメンバー全員が担当ページを持っているので、私も現場で制作業務を手がけつつ、チーム全体のクリエイティブディレクションや制作会社との定期面談、他部署との調整なども行っています。とはいえ、カタログ制作一辺倒というわけではなく、スキンケア商品の売上最大化を考えるユニットや、クレンジング商品の訴求開発など、さまざまなプロジェクトにも参加したり、他チームのクリエイティブディレクション業務も担っています。
『ORBIS magazine』は年12回から発行、1冊につきおよそ半年間の制作期間を要します。制作のプロセスにおいては、企画書の作成やページラフの制作など、校了に至るまでの各段階でメンバー全員参加の「確認会」を実施し、大体月4回、1回につき最長4時間ほどに及ぶ長時間の議論を重ねています。
主力商材のターゲット設定について議論する様子
——社内における『ORBIS magazine』の位置づけはどのようなものでしょうか。
CRMの主力ツールとして位置づけられています。通販事業がメインであるオルビスは、事業の根幹として長年お付き合いいただいているお客様と良好な関係を維持することを重要視しています。デジタルチャネルはもちろん重要ですが、紙媒体は手に取ってじっくりと商品を検討していただける良さがありますし、オルビスというブランドの価値観をお客様にお届けする助けにもなります。
実は、過去にカタログの発行頻度を減らした時期があったのですが、売上が大きく下がり、すぐに戻した経緯があります。デジタル全盛で紙離れが進む中でも、オルビスにおいてはカタログが、オルビス全体の売上にも影響するほど、重要な売上の柱となっています。
誌面を作るだけではない。ターゲットも目指す指標も全て決める
——コンテンツはどのように決めているのでしょう。
『ORBIS magazine』は単なる商品カタログではなく、オルビスというブランドを伝えるツールでもあります。記事ページと広告(プロダクト)ページに分かれていますが、前者ではお客様ひとりひとりの日常や美に寄り添いながら、半歩先をゆく伴走者として日常に深みをもたらす発見、知識、喜びに触れられるような企画・伝え方を意識しています。
一方で、先ほどお伝えしたようにオルビスの売上を支える存在です。MDチームが決定する情報は、ターゲットまで細かく指定があるわけではないため、目指す売上や指標――例えば、商品の購入経験の無いお客様を獲得する、などと決めて、ターゲットの広告嗜好性・購買傾向といった仮説を訴求内容に落とし込んでいきます。
——デジタルと違って、カタログは効果測定が難しいと思うのですが、どのような工夫をされていますか?
顧客人物像に対する仮説を基にしたリアクションの測定や、前年同月や類似企画との売上比較、顧客属性分析は必ず行っています。商品の新規獲得を狙った企画なのか、リピーターへの転換を狙った企画なのか、どういう層のお客様が反応してくれたのかなどを詳細に分析するほか、さまざまな角度からお客様の声を集めて顧客解像度を上げ、数値だけでは見えない部分を補完する仕組みを作り上げていきます。
具体的に実施しているのは、ファンミーティングでの直接対話、コールセンターに対するヒアリング、毎月のアンケート調査です。例えばアンケートでは広告ページと記事ページそれぞれで評価をお伺いし、お客様の嗜好の差異を掴むように心がけています 。
月刊カタログ情報誌『ORBIS magazine』
訴求転換で売り上げが倍増。ディレクターとしての成功体験
——椎川さんの中で特に手応えを感じた成功体験について教えてください。
カタログ制作の業務に限らずディレクターとしての経験でいうと、入社3年目に手がけた、美白美容液のリプロモーションです。2021年の発売当初は売れ行きが芳しくなく、商品部の先輩と一緒に訴求を根本から見直すことになりました。抱えていた課題は明確で、5000円前後というオルビスにとっては高価格帯にあたる設定に対して、その価格を出すだけの商品価値を伝えきれていなかったんです。
——具体的にはどのようなアプローチを取ったのでしょう?
発売時は透明感を象徴する明るい雰囲気の誌面作りをしていましたが、方向性を変えて黒を基調とした強めのビジュアル表現に刷新しました。メインコピーも従来使っていた「キメ」「透明感」という訴求ワードから、配合されている美白有効性分が本来持つ機能の強みを全面に押し出し、独自性となる「メラニンの塊を粉砕して排出をサポート」という、お客様が美容液の効果を理解しやすい表現に変えました。合わせて、狙いたいターゲットに対する課題を再設定し、ポーラ・オルビスグループ独自の成分が配合されている効果感と他の美白成分との差異・独自性を明確に打ち出しました。
左:発売時の誌面
右:リプロモーション後の誌面
——大きな方向転換ですね。結果はどうでしたか?
シミのメカニズムに対するお客様の理解が深まった影響か、広告が出たタイミングで無事リプロモの効果が発揮され、売り上げの大幅回復が叶いました。当時、入社3年目での提案ながら、商品部の方々がゴーサインを出してくれたのは、単に「こっちの方がいい」という感覚的な提案ではなく、過去の売上データや顧客属性分析、市場での競合ポジションを踏まえた根拠のある提案を心がけたからだと思います。
この経験以降、企画を考える時は必ずデータで現状を把握してから、お客様にとって価値のある提案は何かを考える、という進め方を大切にしています。
ただ、データは大切な判断材料ですが、最も重視しているのは「お客様にとっての価値をどこまで掘り下げられるか」です。
商品が狙い通りの動きを見せると達成感がありますし、逆に思うようにいかないときは改善点を深掘りして分析する。このサイクルが、今も判断軸になっています。
カタログで培われる経験から、媒体を越えた訴求力が学べる
——そもそも椎川さんがオルビスに入社しようと考えた理由には、「フラットな風土」があると聞きました。
大学時代、広告クリエイティブが人の行動に与える影響について研究していたこともあって当時は広告業界を志望していました。デジタル広告を手がける企業でインターンも経験したのですが、次第に「仕事内容も重要だけれど、どのような人たちと働くかがもっと重要ではないか」と考えるようになったんです。
そんなときに合同説明会で出会ったのがオルビスでした。美容にうとく社名すら知らなかったのですが、面接で「人を重視する」とお伝えしたところ、「オルビスには面白い人がいるよ」と先輩と話す機会をくださり、風通しのいいフラットな環境があるという話を聞けました。何より色々な先輩とお話しする中で「この人たちとなら、本音で働けそう」と感じたのが入社の決め手になりましたね。実際に働いてみても、入社年次を問わず発言機会があると実感します。
——副編集長に就任してからもそうした体感は変わりませんか?
そうですね。副編集長となってからもメンバーは年上の方たちばかりですが、みんな「この企画を良くするにはどうすればいいか」という共通の目標に向かって年齢や立場を超えた議論ができています。むしろ、そうじゃないと良い企画は生まれません。期待していた環境は200パーセント実現されていると思いますし、個人の考え方を一つの視点として受け止めてくれる社内文化が心理的安全性となって、私の成長の基盤になっていると感じます。
——とはいえ、やはり入社5年目で副編集長に抜擢というのは、戸惑いもあったのでは?
なかったといったら嘘になりますが、ディレクターとして、視野を広げたいと思っていたので、新しい挑戦にワクワクしました。振り返れば入社すぐの頃から、編集会議でも「このターゲットにはこういったアプローチも効果的なのでは?」「この構成も腹落ちしやすいのでは?」など、積極的に発言するよう心がけてきました。新卒で専門知識は不足していましたが、そのぶん疑問や違和感を素直に口にすることで、チームの議論の活性化や、課題を具体化する手助けになるかもしれないな、と思ったんです。そうした姿勢や先にお伝えした美容液のリプロモーションの成功実績などを評価してくださったことは、素直に嬉しいです。
——最後に、先ほどのお話に出た「成長」という観点で、『ORBIS magazine』やCRM制作の経験はどう寄与しているかを教えてください。
CRM制作チームに配属された当初は、正直「紙のカタログに将来性があるのだろうか」という疑問を抱きました。ですが実際に取り組んでみると、誌面という限られたスペースの中で訴求の優先順位を整理するため、効果的に伝える力が身につくんです。
加えて、全社の売上に直結する媒体だからこそ、マガジンを起点にどう他のツールと連動しながらマーケティングを展開していくかの全体視点が身につきます。先ほどもお伝えしたとおり、副編集長を務めながら、さまざまなプロジェクトに関わりディレクションを担っていますが、結局どの媒体でも「誰に、何を、どう届けるか」という本質は同じ。カタログで培ったスキルは決して専門領域に閉じた仕事ではなく、汎用性があると実感しています。また、こうしたチャネルを横断したマーケティングができるのは、オルビスならではの面白さですね。
転職が当たり前になっている今の時代、経験の質がキャリアに大きく影響します。過去の売上から顧客属性分析まで、マーケティングの全工程に一気通貫で関われる環境がオルビスにはあります。お客様の反応が直接感じられ、自分の企画が数字として結果に出る経験は、働くうえでの財産になるのではないでしょうか。
Profile
椎川 聡智歩(Shiikawa Sachiho)
2020年新卒でオルビス入社、CRM統括部 制作グループに配属。カタログ広告ページ制作・カタログ記事ページ制作・各種媒体制作 に従事し、2024年に『ORBIS magazine』副編集長に抜擢。スキンケアユニット、 スキンセントタスクフォース、クレンジングオイルタスクフォース、定期チーム媒体制作など幅広い業務を担当している。
取材・文:木内アキ
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
オルビスでは現在、一緒に働く仲間を募集しています。少しでも興味をお持ちいただいた方は、ぜひこちらからご連絡ください。
皆様のご応募、お待ちしております!
※本記事内容は、公開日(2025年11月6日)時点の情報に基づきます。