笑顔で、自分がなりたい自分でいること
JOB&CULTURE
一人ひとりが、自分らしくここちよく年齢を重ねていける初期エイジングケアシリーズ「オルビスユーシリーズ」。2014年に誕生して、今年で10周年を迎えます。開発に携わった社員たちのリアルな言葉で、“ここちを美しく”というブランドメッセージを紐解きながら、その歩みを振り返っていく連載の第三弾。
今回登場するのは、ブランドデザイン部で商品企画グループのメイク担当マネジャーを務める鈴木奈々絵。2018年10月発売「オルビスユーシリーズ」(以下、「ユー」)の第二世代のリニューアルを担当しました。プライベートでは、一児の母。妊娠、産育休を経て変化した心境や、仕事とプライベートのバランス、さらには日常で“ここちよさ”を感じる瞬間にも触れていきます。この記事で、「オルビスユーシリーズ」をより身近に感じていただけるようにと願いを込めて。
仕事も育児も全力、でも完璧は求めない
――仕事に復帰されて約1か月が経ちました。母になり、変化はありましたか?
産前は仕事が最優先だったのですが、今は仕事も育児もどちらも全力で頑張りたいという気持ちで、手探りながらもなんとか両立しています。別に無理をしているわけではなくて、たぶん「どちらかだけを選ぶ」ことができないタイプなんです(笑)。時間の使い方を工夫して、娘に向き合う時間は100%育児に費やし、仕事のときは母親であることを一旦忘れて100%お客様のことを考えます。仕事に復帰しないという選択肢もあるとは思うのですが、自分がやりたいことにも挑戦したほうが、娘との関係性もバランスがとれるかもしれないと思って復帰を決めました。決めたからには、どちらも100%でいくぞ、って。
仕事を休んでいる間も、オルビスや業界の動きは気にしていました。きっと、仕事がライフワークみたいな感覚なんだと思います。娘には、会えない時間はさみしい思いをさせてしまっているかもしれません。でも、私が楽しそうに働いている姿を見て、かっこいいとか、自分も早く働いてみたいとか、ポジティブに感じてもらえたら嬉しいですね。
あとは、一緒に働く人に感謝をする機会がより増えたと思います。産前は自分で全部頑張ればいいと思っていましたが、今はそうはいきません。いかに周囲がサポートしてくれているか、そのありがたみを感じます。最近は、働くママさんの視点もわかるようになってきました。子育てに限らず、いろんな環境や背景の人がいることを改めて意識しています。
――家庭の状況も違いますよね。
特に育児って、正解がないじゃないですか。子どもの個性によって対応も違うし、一つずつ解決していくしかない。娘が生まれた直後は、答えのない課題を追い続けているような、不安と絶望を感じていました(笑)。育児を妥協しないスタンスでやったら行き詰まるよ、と友人にアドバイスをもらってからは、“完璧にしない”という気持ちで向き合うようにしています。家の掃除ができなくても、離乳食がベビーフードのときがあっても、大丈夫。家族と自分が気持ちよくいられる状態がベストだと考えています。
目指したのは、お客様の人生を変えられる商品
――復帰前に担当した、第二世代の「ユー」の企画について聞かせてください。会社のリブランディング期に任されたリニューアルを振り返ってみると?
任されたときは本当に嬉しかったです。オルビスはスキンケアを中心としたブランドなので、「スキンケアシリーズを手がける=企画者として一人前になる」という印象があり、自分もいつか先輩たちのように担当したいと思っていました。ただ、上司からは「単に商品をつくるだけと思わずに、オルビスの新たな美容思想をつくるという意気込みで取り組んで欲しい」というミッションが伝えられ、一気に嬉しさの半分が不安に変わりました(笑)。スキンケアシリーズをメインで担当することも初めてなのに、美容思想をつくることも当然初めて。当時は、プレッシャーも感じていたと思います。
――どんな気持ちで取り組んだのでしょう。
お客様の人生を「ユー」によってどう変えていけるか、を常に考えていました。「ユー」は“ここちよさ”がコンセプトの商品なので、どうしたら“ここちよさ”を感じていただけるのか、ターゲットの方の生活を想像したりもして。働いたり家事をしたり、日々忙しくいろんなことをするなかでも、ふっと素に戻って力を抜ける瞬間があると思うんです。そんな自分らしくいられるときに、寄り添っていくブランドでありたいと思いました。そのブランドが届ける商品は、きっときらびやかなものではなく、ほっと癒されるもの。だから、質感もとろとろ、ふわふわとした触るだけで癒されるようなものにこだわりました。もっときれいになる自分を想像してワクワクできるような、お手入れをする楽しみをお客様に感じていただきたかったんです。
――印象的なエピソードは?
開発過程で3か月間、「ユー」をブランドや商品名を伏せて使っていただくユーザーテストを行ったのですが、そのときのお客様の変化は忘れられません。ターゲットである30代前後の女性は、ライフスタイルの変化による肌や身体の変化を感じ始める世代です。テスト開始前は「鏡を見るのが嫌い」「自分から目をそらしたくなる」という自分に対してのネガティブな言葉を発している方もいました。でも、テスト終了時には別人のようになっていて。肌の変化はもちろんあるのですが、「鏡を見るのが楽しくなったんです」「新しい服を買っちゃいました」という前向きな言葉があったり、表情やファッションが変わっていたり。そんな変化を目の当たりにして、「ユー」を通してお客様の人生を変えられたのではないか、という手ごたえを感じました。一人でも多くのお客様の笑顔を作りたい、関わってくれた人を幸せにしたいという想いで仕事をしているので、お客様が喜ぶ姿を見られるのはとてもやりがいに感じる瞬間でしたね。
憧れは自分のなかに持っておく
――仕事、子育てとさらに忙しくなったと思います。落ち込む瞬間はありますか?
もともと気持ちの浮き沈みは少ない方だと思います。高校生のころにつらい経験をして、それを乗り越えたことで、大体のことを「なんとかなる」って前向きに昇華できるようになっています。ただ、仕事から帰宅して、家事に追われて娘にちゃんと向き合えなかったときは落ち込んでしまいます。次の日にいつもより多く遊ぶとか、抱きしめるとか、フォローはするようにしていますね。
――自分のためにしていることは?
自分のご機嫌の取り方をわかっているので、育児に限らず落ち込んだときは、甘いものを食べたり、カフェラテを飲んだり、好きなものに頼ります。ちょっと筋トレをするのも、頭がスッキリしておすすめです。あとは、とりあえず笑ってみること。余裕が無いときにあえて笑ってみると、不思議と本当に余裕が生まれてくるんです。笑っている自分=人生を楽しめている自分だと思っているので、いつでもそうありたいなと思います。
――自分のことをよくわかっているんですね。では、日々どんなときにここちよさを感じていますか?
自分が好きな自分でいられるときです。たとえば、予定がない日も早起きして身支度をするのですが、ちゃんと身なりを整えている状態が好きなので、無理をしている感覚はないです。好きな自分にフィットしているというか、自分のなかで「こうなりたい」という小さな目標があって、それを叶えていっている感覚なのかな。昔から、人に憧れることがあっても「この人になりたい」とはあまり思わないようにしていました。憧れの対象が外にあると、どうしても比較してしまうじゃないですか。誰かにはなれないけれど、いろんな人の素敵なところを集めて、自分のなかに吸収していきたいと思っています。それが、私自身のオリジナリティにも繋がる気がして。
※本記事内容は、公開日(2024年5月29日)時点の情報に基づきます。
Profile
鈴木奈々絵 (Suzuki Nanae)
2013年にオルビス株式会社に新卒入社。ブランドデザイン部 商品企画グループにてメイク担当マネジャーを務める。2018年10月にリニューアル発売した、第二世代の「オルビスユーシリーズ」の企画を担当。