2024.3.19

プロダクトが持つ気配もデザインできるように

PROJECT

JOB&CULTURE

 ORBIS

一人ひとりが、自分らしくここちよく年齢を重ねていける初期エイジングケアシリーズ「オルビスユーシリーズ」。2014年に誕生して、今年で10周年を迎えます。開発に携わった社員たちのリアルな言葉で、“ここちを美しく”というブランドメッセージを紐解きながら、その歩みを振り返っていきます。社員が感じる“ここちよさ”も紹介しながら、「オルビスユーシリーズ」がより身近に感じていただけるようにという願いを込めて。

部屋の中でどんな存在感を持つ商品なんだろうかと考えた

今回登場するのは、ブランドデザイン部でプロダクトデザインを担当する臼井もも子。ブランドイメージを刷新した2018年のリブランディング、そして2022年には商品リニューアルで「オルビスユーシリーズ」のデザインに携わりました。同シリーズは、日本を代表するデザイン賞「2023年度グッドデザイン賞(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)」を受賞しています。

――大きな反響があった2018年のリブランディングを振り返ると?

それ以前のオルビスは、通販事業でスタートした背景もあり、カタログ等でお客様に商品の違いをひと目で認識していただくことが必要で、デザインにおいても識別性があることがよしとされていました。そこからリブランディングにあたり、“ここちを美しく”というブランドメッセージが生まれ、そのブランド価値をどう体現するのかが、デザインには求められました。

「オルビスユーシリーズ」はオルビスの象徴となるスキンケアシリーズです。オルビスだからこそ提供できる“ここちよさ”を視覚化させるために、お客様の生活の中で、オルビスというブランドがどんなふうに存在してほしいのかを考えることから始めました。化粧品然とさせるのではなく、生活の中の一つのプロダクトとして馴染みつつ、ちゃんとそこにある。商品の気配とも言うんですかね。そんなイメージから、カタチや質感を検討していきました。

すりガラス調の質感によって、商品を通して奥が透けて馴染むけれど、輪郭としてちゃんと存在している。そんな質感の素材を選んでいます。一か所だけ突起のあるカタチも「そもそも、化粧品って立ってる必要ある?」という話にもなって、生活の中での置かれ方を制限しないボトルデザインにしました。

2018年のリブランディングで、デザイン的にも“ここちを美しく”の体現を徹底的にやり切ったので、2022年のリニューアルは大きく変化させるのではなく、進化というか、シンプルに新たな価値を付加しながら、アップデートすることに注力しました。

リニューアルした「オルビスユー エッセンスローション」

――具体的には?

オルビスのプロダクトデザインとして、“最低限のアクションで最大限の魅力を引き出す”というのが、絶対的なこだわりとしてあるんですね。今回のリニューアルでは、円筒のカタチを削ぐというデザイン的なマイナスのアクションで、魅力を最大限に引き出しています。それによって生まれる、「削いだ箇所から覗くうるおい=液体の“溜まり感”」による効果にはかなりこだわりましたね。お客様が毎日使うたびに、プロダクトの表情はちょっとずつ変わります。そうすると、プロダクトを置いた時の景色も、さっきまでのそれとは少しだけ変わる。そうしたちょっとした仕掛けを作りたかったんです。実は、キャップを閉めるというアクションも、“閉め終わったぞ”というクリック感があることで、無駄な力を使わずに済むんですね。そんなところにも“ここちよさ”を潜ませています。

――今の時代は、持続可能なプロダクトを作ることの重要性がますます高まっていますね。

オルビスはつめかえ用商品を導入したのが早かったですし、今でも品質を保持しながら環境対応素材を極力使うようにするなど、できることを始めています。ただ、長期的にやれることはまだまだあると思いますね。いちユーザーとして、すぐ捨てるものなのにものすごく頑丈なものが使われていたり、過剰包装だったりすると、捨てる時に罪悪感があります。そうした日々のストレスが減って、捨てるところまで気持ちがいいという意味での“ここちよさ”についても、デザインで高めることができるかもしれません。

自分というフィルターを信じられるように日々思うこと

――デザインする際に大事にしていることは?

“自分が欲しいか/欲しくないか”というフィルターを通すようにしています。私はもうすぐ40歳になるんですが、10代も60代も、人が本能的に素敵だと感じるものは、それほど変わらないと思うんです。春になって暖かな風が吹くと気持ちも温かくなるとか、「オルビスユーシリーズ」でいえば、光が差し込んでキラキラとプリズムが走る感じだとか。そういう誰しもが本能的にここちよいと感じる感覚を、年代や性別の枠にはめないでデザインで表現していきたくて。自分が欲しいと思わないものを、他の人が欲しいと思わないだろうというスタンスに基づいて、自分自身に“本当に欲しい?これ、いる?”と聞くようにしています。

それと、実際に手にとった時の触感はすごく大事にしていますね。特に化粧品はより人に、肌に近いものなので、写真映えするということだけでデザインしてしまうと、お客様の手元に届いた時に「思っていたものと違う」と、裏切ってしまうことにもなりかねませんから。

――ここちよく生活するために、心掛けていることはありますか?

私にとっては何もすることがない、空っぽの時間が最高にここちよくて幸せなんです。そうした清々しい時間をできるだけ長くするために、小さな心の引っかかりやタスクは「疲れているから明日にしよう」ではなくて、一刻も早くやってしまう。それと、空を見ることですね。私は、空を見ているかいないかが忙しさの判断軸としてあって、仕事に迫られているときほど、強制的に見て切り替えるようにしていますね。

――日々の暮らしの中で、大事にしていることは?

なるべく人と会うようにしています。歳を重ねてきて、人と会える時間は限られていると焦り始めました。親戚とか友人とか、気づいたら数年会ってなかったとかざらじゃないですか。疲れていても、多少無理してでも人と会って楽しい時間を持ちたいですね。

――仕事ではどうでしょう?

私は感情が表に出やすいので、怖くならないように(笑)、話しかけやすい雰囲気を作るために、ゆっくり喋ろうと心掛けています。自分自身、相手の顔色を伺わないだけで仕事が何倍も早く進むと実感するんです。極力、私から相手が受け取る感情は、嫌なものにしたくないと思っています。それと、誰に対してもフラットにいること。どうしても仕事となると、利害関係が絡むこともあるかもしれないですが、変に媚びず、裏切らず、誰に対しても失礼のないようにと思いながら働いてきました。

――オンとオフの切り替えは上手くできますか?

なかなかできないので、きちっと切り離せる人が羨ましいです。私、オフのときのダラけ具合がすごくて(笑)。用事のない休みの日は一歩も歩きたくなくて、ずっとソファーにいますから。飲み会の後も、毎回一人反省会をしています。なんであんなこと言っちゃったんだろう、一言多かったな……って一晩中考えて、消えてしまいたくなるタイプですね。自分では強いと思いたいけど、小心者なんです(笑)。後悔しているのに謝ることもできなくて、下手したら三日くらい引きずってしまいます。でも、仕事ではなぜか素直にすぐ謝れるんです。「さっきは言い過ぎた」「言い方がきつかった」って。プライベートでもそうなれるといいんですが。

※本記事内容は、公開日(2024年3月19日)時点の情報に基づきます。

Profile

臼井もも子 (Usui Momoko)

2008年にポーラ化成工業株式会社に新卒入社後、2013年にオルビスへ出向。ブランドデザイン部商品企画グループ所属。ブランドを象徴する初期エイジングケアシリーズ「オルビスユーシリーズ」のプロダクトデザインに携わる。

PROJECT back number

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2024.04.26

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2024.04.12

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2024.04.12

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広告代理店、事業会社のどちらを選択するか。マーケターを目指した学生の就職活動体験記

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2023.09.25

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「小林の部屋」を覗いてみたら、そこは会社のトップと社員がフラットに想いを伝え合う場でした。

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2022.03.02

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2021.09.21

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部署も役職も超えて「ONE ORBIS」でお客様への価値提供を考える一日。全社総会『ONE ORBIS FORUM 2021 SUMMER』をレポートします!

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風土と制度を両輪で変える。「変革エージェント」として組織改革を支えた、HRの進化

vol.54
2021.06.04

2度の産休を経て、さらに“自分らしく”。オルビスのフラットな風土で活躍する女性マネージャーの働き方

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「その人そのものの良さを解放したい。」メンズ化粧品ブランド「Mr.」タスクフォースを立ち上げた新卒11年目社員の想いとは

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2021.05.10

マーケコンサル会社とスタートアップを経てオルビスへ。オルビスだからできること、そして実現したい未来とは

vol.57
2021.04.13

障がいに関わらず、専門性を高めていけるオルビスで、成長し続けたい

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2021.03.23

「ビューティーアドバイザーの数だけお客様に喜んでいただけるような魅力を持っている」ビューティーアドバイザー・チーフを経験したスーパーバイザーの想いとは

vol.59
2021.03.14

入社3年目で社長に直談判。新規プロジェクトを立ち上げたリーダーが語る、オルビスで働く面白さ