「クリーンビューティ」への新たな挑戦。他社を経験した商品企画スペシャリストが実現したいこと
JOB&CULTURE
こんにちは。ブログ担当の榎本です。
昨今の環境意識の高まりを受けて注目を集めているのが、人に優しく、環境にも配慮したスキンケア&コスメを指す「クリーンビューティ」。2023年7月1日、オルビスから「クリーン×サイエンス」を実現した新しいクリーンビューティブランド「CLEANENCE(クリーンエンス)」が、満を持して誕生しました。
この「CLEANENCE(クリーンエンス)」のリーダーを務めるのが、ブランドデザイン部 商品企画グループの高寺藍子さんです。2012年に新卒でオルビスに入社した高寺さんは、約7年にわたり商品企画を経験してから、他社のコスメブランドに転職。2年間企画を担当した後、2020年に再びオルビスに戻り、現在の業務に就いています。
商品企画のスペシャリストとしてどのようなキャリアを重ねてきたのか、そして新領域へのチャレンジを支えている思いとは。他社での働き方を知ったからこそ感じたオルビスならではの強みや、解決すべき課題も含めて話を聞きました。
学生時代から憧れてきた、「思いが形になる」仕事
――現在、高寺さんが担当している業務を教えてください。
ブランドの顔となる、商品の企画と開発を担当しています。まずは企画者本人が市場や顧客をしっかり分析したうえで、商品のコンセプトや色、テクスチャー、使用感まで細かく企画していきます。その後モノづくりのフェーズに入り、関連部署や研究所と一丸になって、ひとつの商品を作り上げて企画を実現していきます。
――オルビスには企画職を志望して新卒で入社していますが、そもそもの入社動機は何だったのでしょう。
学生時代、文化祭や体育祭が当日を迎えるまでのプロセスが好きでした。思いやコンセプトが具現化されて、形になっていくのが面白かったんです。そこで、商品やサービスを作り出す仕事に就きたいと企画職を志望しました。化粧品業界のみには絞らず、「愛着を持って使える身の回りの商材を手掛けたい」という観点で日用品のメーカーも希望していました。
当時はジョブ型採用ではなかったのですが、就職活動を通じてオルビスのことを知っていくうちに、お客様と直接接点を持つことができる、かつ1年目から企画職に挑戦できる環境だと分かりました。商品企画だけでなくマーケティングなど、どの部署に配属されたとしても「思いを形にする仕事」という希望が叶いそうだと感じて、入社を決めました。
――初年度から商品企画に配属。希望の仕事に就いていかがでしたか?
新入社後初めて担当したのが、「リキッドアイライナー」の限定色。商品コンセプトや中身だけでなく、商品名ももちろん自分で決めて、ネイビー系の色味の『ネイビープラネット』という商品を作りました。商品が完成したこと自体にとてもやりがいがあったのですが、より嬉しかったのは、発売に向けた社内会議などで『ネイビープラネット』という名前が浸透していったこと。「私の考えた商品が、みんなの一般認識になっていくんだ」と企画者としての実感を得たことを今でもよく覚えています。
それから、スキンケアの企画を5年、メイクの企画を2年間担当しました。入社前に思い描いていた「思いやコンセプトが形になる」喜びを感じながら働けた7年間だと思います。
入社5年目のジレンマ。自分の限界を感じ転職を選択
――2018年にオルビスを退社し、他社のコスメブランドに転職されます。その決断にはどういう思いがあったのでしょう?
転職の直前はメイク企画チームのリーダーをしていました。当時のオルビスはリブランディング前のフェーズで、スキンケアとメイクのデザインもやや統一感に欠け、今ほど“洗練された”感じもなかったんです。オルビスのメイクを、時代に合った姿にブラッシュアップできないかと試行錯誤していたのですが、「トレンドの色を取り入れて、おしゃれなパッケージにすることがオルビスらしいのか?」と迷いも生じてしまって。
入社7年目で仕事は十分回せるようになっているのに、新しい流れは生み出しきれない。自分の限界を感じるようになりました。今後、化粧品の企画職を続けて行くのであれば、世界観の研ぎ澄まされたブランドがどういう手法を使っているのかを学んで仕事の幅を広げたい。そんな思いが高まって、転職する道を選びました。
――転職先は、どういった点に着目して選びましたか?
独自の世界観を持っている、いわゆるアーティストブランドに転職しました。どうやって流行の最先端を走っているのか、世界観を構築しているのかを学びたかったんです。
――実際にどんな学びがあったのでしょう。
メイクトレンドの捉え方は勉強になりましたね。世の中の情勢や、ファッションとコスメのリンクを考えながら情報を捉えていくんだな、と。
また、当時のオルビスは市場の動きを見てモノづくりをすることが多かったのですが、前職では「オレンジが流行色なら、“私たちらしい”オレンジとしてこんな色を出そう」など、トレンドとブランドのコンセプチュアルな部分を掛け合わせて商品を作っていくことで、ブランドの世界観がより強まっていくことを経験しました。世界観を作っていく人たちの視座が刺激になった日々でしたね。
環境に良く、肌に効果的な「クリーン×サイエンス」という挑戦
――2020年、再びオルビスに入社を決意しますが、戻ろうと思った理由は何ですか?
理由は3つあり、1番の理由は、他社の環境を知ったことで、あらためてオルビスの企画職が持つ裁量の大きさに魅力を感じたからです。前職で得たことはたくさんありましたが、「ディレクター」が構想したものを企画者として実現することが主な業務になっていました。もちろん、ブランドの目指す世界観に到達するための最適なアプローチの一つだと思いますが、私自身としてはもっと自分ならではの感性を活かした企画を実現していきたいと願ったとき、オルビスの環境なら叶えられるのではないか、と。
2つめが、オルビスにいる「人」の魅力です。仕事や人、お客様への向き合い方がとても真摯で好きだったので、転職の決断時に最後まで悩んだポイントでした。私が新たに学んだ視点を含めて、オルビスの人たちともう一度一緒に仕事がしたいと思いました。
3つめが、今後のキャリアと生活の両立です。私自身、ずっと仕事を続けたいと思っているのですが、当時は30歳前後で、これからライフステージの変化を迎えるであろう年齢でした。オルビスには能力に応じたキャリアアップの機会が用意されていますし、両立支援を含む働き方に関する制度も整っているので、生活に変化があっても長く働けます。自分が大事にしたいどちらの軸も両立できることが魅力的でした。
――オルビスに戻り、まず手掛けたのがフェムテック。「Utatane 吸水ショーツ」の企画を行ったんですね。
再入社したときに託されたのが、「今までのカテゴリに囚われず、新しいことをしてほしい」というミッションでした。フェムテックが持つ「女性が生きやすくなる社会の価値観を体現する」というメッセージはオルビスに通じるものです。まだ発展途上の市場なので品質面がもうひとつ、という商品も多い中、オルビスの品質基準ならよいモノが作れるのではないか、と吸水ショーツに着目しました。
もちろん、フェムテック系のプロダクトを使っている方は世の中でもまだ多くありません。今のフェーズではショーツをたくさん販売するというよりも、商品をきっかけに「なぜこういったモノが必要なのか」「そこにはどういう考え方があるのか」といった背景に対するコミュニケーションを深めていくことが、女性が生きやすくなるための働きかけになるのではないかと考えています。
――コスメの新ジャンル「クリーンビューティ」は、まさにトレンドを踏まえたジャンルです。新ブランド「CLEANENCE(クリーンエンス)」に、高寺さんはどんな狙いを持っていますか。
クリーンビューティの背景には「自然との共存」や「自らの価値観で化粧品を選ぶ=多様性」などの考え方があります。まだ市場は拡大していませんが、時代背景を考えるとこれから必ず需要が伸びてくるはず。
現在、そのマーケットはオーガニック&ナチュラルブランドが独占している状況ですが、オルビスが参入していく意義はあると考えています。オーガニック&ナチュラル商品が持つ環境への配慮やここちよさがありつつ、オルビスの強みである肌科学=サイエンスの部分でしっかりとした肌への効果を発揮できれば、「環境によいもの=肌に効果的なもの」が両立する、新たなビューティの選択肢を提示できるブランドになれると思っています。
うわべのトレンドに流されず、“自分ならでは”の感覚を持って
――新しい学びを得た今、オルビスの仕事環境は改めてどう映りますか?
周囲のサポート体制や会社からの投資も含めて、ここまで立案から実行まで挑戦させてくれる会社は他にはないと思っています。また、研究所があることの強みを再認識しました。作りたい商品があったとき、他社と同じ技術ではなく、独自の理論や処方によって差別化を図れるからです。実際、オルビスでは「こういうブランドにしたい」「こういうモノづくりがしたい」という思いを共有しながら研究員が開発にあたってくれます。転職前はこの環境のありがたみがそこまで分かっていなかったかもしれません。
――反対に「ここは変えたほうがよい」と感じた点はありましたか?
吸水ショーツを作るとき、着手から1年でリリースしたかったのですが、実際には2年かかりました。オルビスは品質基準が高いので、必然的にクリアすべきポイントが多いんです。ただ一方で、これは品質を落とすという意味ではないのですが、時には適切なタイミングで世の中に出すことも重視していく。そうした動きが今後はもっとあってよいのではないかと思います。
――企画歴10年のスペシャリストとして、仕事を進めるうえで意識していることはありますか?
時代の価値観は移り変わっていくものです。トレンドにそのまま乗るのではなく、背景を読み解きながら、一人の顧客として「私だったらこう思う」「これだったら欲しい」という“自分ならではの感覚”も大事にしています。
データやトレンドはもちろん大事ですが、それだけ見ていたら独自性のないアウトプットになる恐れもあります。30代でプライベートや仕事の悩みを等身大で体感している私ならではの視点で、女性がもっと生きやすい社会につながるソリューションを生み出していきたい。そうすることで、驚きや使う楽しさを伴った“半歩先の提案”をしていけるのではないかと思っています。
――今後、どんなことに挑戦したいですか?
化粧品は心にパワーをくれるアイテムなので、一緒に過ごすと心がきゅっと震えるような感覚を企画者として提供していくことが目標です。オルビスがよりそういうブランドになっていくために、まずは「CLEANENCE(クリーンエンス)」を成長させていきたい。「CLEANENCE(クリーンエンス)」って面白くてワクワクすると、お客様だけでなく関わるすべての人に感じてもらえるようになりたいです。また、私自身の経験も踏まえてなのですが、年齢やライフステージの変化によって、多くの女性は何かしらのモヤモヤを抱えて生きていくように思います。ここちよく、機嫌よく、自然体でいるのは結構大変なのではないかと。
以前、吸水ショーツを発売した際に、婦人科の先生による、参加者の悩みに応えるイベントを実施しました。参加者の満足度は非常に高く、女性が生きやすくなるヒントを提示できた手ごたえがあったんです。
これからも女性への寄り添い方は模索していきたいですし、コミュニケーションやプロダクトを通じて、ライフスタイルの悩みをクリアにしていけたら嬉しいですね。
取材・文:木内アキ
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
オルビスでは現在、一緒に働く仲間を募集しています。少しでも興味をお持ちいただいた方は、ぜひこちらからご連絡ください。
皆様のご応募、お待ちしております!
※本記事内容は、公開日(2023年9月11日)時点の情報に基づきます。
Profile
高寺藍子(Takatera Aiko)
2012年新卒入社。初期配属から商品企画を担当。2018~2020年の2年間メイクブランドへ転職し、2020年に再びオルビスへ。再入社の後、新規事業の商品企画などを担当。現在は2023年7月1日ローンチのクリーンビューティブランド「CLEANENCE(クリーンエンス)」のリーダーを務める。