【トップインタビュー】デジタルとリアルの融合、顧客起点でのDX推進で新たなブランド価値の創出へ
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こんにちは。オルビス公式ブログ担当の土井山です。
オルビスでは、2018 年のリブランディング以降、第二創業期として「未来志向×オープンマインド」なカルチャーのもと、一人ひとりの持つ美しさが多様に表現される、ここちよい社会の実現を目指して変革と挑戦を続けています。
今回は、本質的な価値提供を追求し、「ORBISアプリ」をコアにデジタルとリアルを包含してブランド体験を創造するオルビスの戦略について、代表の小林にインタビューしました。2021年の振り返りと手応えから2022年の事業戦略まで、ぜひご一読ください。
リブランディングと構造改革により、スキンケアを中心としたビューティーブランドとして成長
——コロナ禍の2021年でしたが、業績についてはどのように評価していますか。
コロナ禍の2021年は厳しい市場環境ではあったものの、オルビスでは主力である通販事業において営業利益率が20%まで成長、なかでもスキンケアの売上は新型コロナウイルス感染症の拡大前、2019年の売上を超える規模に伸長しました。
これは有事に関係なく、2018年からリブランディングにより、当時の総合通販的な売り方から抜本的な構造改革に取り組んだ成果と言えます。
第二創業期以降、「スキンケアを中心としたビューティーブランド」としてブランドビジネスに舵を切ってからは、構造改革において新規顧客を中心にスキンケアの売上比率を上げてきました。利益率が上がるような構造改革を行ってきた結果、現在の安定成長に繋がっています。
——スキンケア好調を牽引した商品は何だったのでしょうか。
象徴スキンケア「オルビスユーシリーズ」の上位ライン「オルビス ユードットシリーズ」、さらにニキビケアの「クリアシリーズ」の売上が好調でした。「オルビス ユードットシリーズ」に関しては、新規顧客に加えて「オルビスユーシリーズ」からのアップセルも多く売上の伸長を加速させたと考えられます。
また、ニキビケアの「クリアシリーズ」にも成果が見られました。ニキビケアは若年層が市場の中心であるため、人口減少が続く近年は市場自体が縮小傾向にあったものの、昨今のコロナ禍によるライフスタイルの変化とそれに伴うストレスにより、敏感肌や肌荒れのニーズが顕在化。20年、21年と2年連続で2ケタ成長を記録しています。
【写真】クリアフルシリーズ (2022年3月23日リニューアル)
スキンケアを中心とした戦略は変えるつもりがなく、22年も大型商品のリリースを予定しています。さらに、ここで改めて戦略的に商品カテゴリーを広げていこうと考えています。まずは近年ニーズが急増しているニキビ市場へのアプローチとして、「クリアシリーズ」を「クリアフルシリーズ」へ、3月にリニューアル発売します。
また、メンズ市場にも勝機を見出しています。2017年に発売開始したメンズスキンケアの「オルビス ミスター」は、21年には前年の約2倍の売上を達成しました。市場はまだまだ黎明期と言えるだけに、22年中も積極的に投資をして先行者メリットを取りに行きたいと思っています。
——新規事業についてはいかがでしょうか。
お客様一人ひとりのライフスタイルにも寄り添い、よりパーソナルなブランド体験の提供を目指した取り組みにも着手しています。昨年4月には、オルビス初のパーソナライズスキンケアサービス「cocktail graphy(カクテルグラフィー)」をリリース。同年9月には、健やかな美しさを引き出す選択肢の一つとして「INNER COLOR SALAD(インナーカラーサラダ)」の販売を開始しました。今後も、スキンケア分野での安定基盤を原資に、オルビスの未来に向けた成長ドライバーとなる新規事業への投資も継続的に行っていきます。
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パーソナライズにサラダ販売。多角的な取り組みを牽引する、新規事業開発グループが目指す未来
https://corp.orbis.co.jp/article/interview_inner_color_salad/アプリを中心に、デジタルとリアルの融合でブランド体験向上を目指す
——2022年の事業戦略と、その狙いについて教えてください。
【写真】「ORBISアプリ」内のコンテンツ
商品戦略だけでなく、顧客構造の捉え方についても本質的価値を問い直し、次のステップへ進化していきます。その中核となるのが「ORBISアプリ」です。
現在のアプリ会員数(アプリダウンロードかつ会員登録数)は約281万人、MAU(月間アクティブユーザー数)は約52万人(2022年2月末時点)で、オルビスの強固なビジネス基盤になっています。「ORBISアプリ」が提供する価値は商品紹介だけでなく、AIを活用した診断系サービスなども充実している点で、お客様のブランド体験向上に寄与しています。
これまでは、2018年のリブランディング以前からのお客様と以降に新規で入られたお客様とで大きくセグメントを分けた販促を行い、主にその購買行動から相関性を導き出してマーケティングを行ってきました。しかし、時代の変化にともなってお客様のライフスタイルや価値観も変化していきます。世代を問わずデジタルに触れる機会が増えていくなか、アプリを起点としてデジタルとリアルを融合させ、顧客層の違いにとらわれずに、一人ひとりに合った本質的なブランドの体験価値を提供していこうと考えています。
——アプリを中心に、デジタルとリアルの垣根までシームレスにしていきながら、パーソナライズなサービスを進化させていくということですね。
【写真】(左から)全国の「オルビス・ザ・ショップ」、体験特化型施設「SKINCARE LOUNGE BY ORBIS(スキンケアラウンジ バイ オルビス)」
そのためには、「メルマガやカタログなどの商品情報を送るといった販売促進以外の手段で、お客様がブランド体験できる機会をどれだけ創れるか」という点を重視しています。
ブランドの価値でお客様と長く繋がっていくためには、お客様が自らの意思でブランドに接触するアクションを増やしていただく必要がある。そのため、オンラインでお客様とインタラクティブに接することのできる機会だけでなく、我々の強みであり、アセットである全国の店舗や、体験特化型施設などのリアルなタッチポイントも顧客価値創出の場として非常に重要視しています。
——お客様からのアクションを増やすために、具体的にはどのようなことを行っていくのでしょうか。
「ORBISアプリ」を通じて得られる顧客データをもとに、これまで以上にパーソナライズされたコンテンツを提供していきます。オルビスはアプリ内のサービスやコンテンツに関するデータ分析に強みがあり、たとえば、アプリの記事を見ている回数が多いほど、LTV(顧客生涯価値)が数百円上がっていることが分かっています。従来の購買データと、お客様の行動、感情などのデータを統合した"真の顧客データ"をもとに、より洗練されたブランド体験の提供を目指します。
——海外事業についてはどのように考えていますか。
海外については、特に巨大市場である中国でのビジネス拡大を目指します。
ブランドの認知拡大には、海外においてもスキンケアカテゴリーでヒット商品を生み出す必要があります。そのための施策として、コロナ前の20年には表参道に体験特化型施設をオープン、国内の百貨店に出店するなど中国人観光客との接点を増やしてきました。この戦略は、アフターコロナで実を結ぶと予測しています。
オルビスのブランドメッセージや機能性、価格帯は、中国本土で経済発展している沿岸部の1線都市だけでなく、内陸部の新1線都市や2線都市でのニーズにも応えられると思っています。今後の消費の主役となっていくであろう中間層のニーズを予測して、オルビスの戦略に共感していただける代理店、小売店との取り組みをオフラインでも展開していきます。時代の潮流を見据えたこの戦略が、次の成長に繋がると考えています。
中国以外の海外地域においても、シンプルなスキンケアへのニーズが高いシンガポールを皮切りに、ASEANでのビジネス成長を加速させていく見込みです。
——最後に、組織改革についてはいかがでしょうか。
組織については、2018年に従来の「通販事業部」と「店舗事業部」というチャネルの垣根をなくして組織変革を行ってきましたが、お客様一人ひとりに最適なブランド体験を提供していくために、本質的なマーケティングが実現できる組織体制に変更しました。具体的には、デジタルとリアルのチャネル別、リブランディング前後の顧客セグメント別で分けていた組織を、国内事業として一本化したのです。この組織改編により、これまでチャネルや顧客層を起点に行っていた企業視点のマーケティングを、本質的な顧客起点のマーケティングへと進化させていきます。
日頃から顧客接点に向き合う社員同士が、オルビスの持つアセットを活用して有機的に連携しやすい組織体制にすることで、今後もお客様とブランドの多様なコミュニケーションの形を実現していきます。
2022年は、オルビスの中長期的な未来を創る芽を確実に出す1年にしていきたいと思っています。お客様によりよいブランド体験を提供していくために、社員一人ひとりが「自分がともに創る」という強い意志を持って顧客起点で考えた結果、新しい価値が次々と生まれていくことを期待しています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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皆様のご応募、お待ちしております!
※本記事内容は、公開日(2022年3月29日)時点の情報に基づきます。
Profile
土井山 幸香(Doiyama Yukika)
2021年新卒入社、HR統括部 広報グループ所属。 広報担当として、オルビス公式ブログの編集、公式SNSアカウントの運用を行う。2022年より、サステナビリティ活動を推進するプロジェクトも兼務している。