“自信のなさ”をバネに挑戦し続ける、「ORBIS Mr.」のリーダーが世の中に届けたいメッセージ
JOB&CULTURE
こんにちは。ブログ担当の榎本です。
近年のメンズコスメ市場は、20~30代の若者層を中心に成長し、オルビスのメンズライン「ORBIS Mr.(オルビス ミスター)」もまた、売上昨年比141%(2022年10月時点実績)と好調な伸びを見せています。
今回ご紹介する藤田剛さんは「ORBIS Mr.」のタスクフォース(各部門から集まった少人数のプロジェクトチーム、以下TF)でリーダーを務めながら、CRM統括部コミュニケーション推進グループに所属。お客様一人ひとりのニーズに合わせて展開するOne to Oneマーケティングの施策を担当しています。
2021年にTFリーダーに抜擢され、同年にはポーラ・オルビスホールディングスの「グループ優秀賞」にも輝くなど、着実にキャリアを重ねている裏側には「自信のなさが原動力にあった」と藤田さんは話します。働くうえで抱える等身大の悩みから、どのように挑戦や経験を重ねてきたのか。そして成長途上にあるメンズコスメ市場だからこそのやりがいやマーケティングの面白さまで、話を聞きました。
メンズコスメ市場は成長途中だからこそ、苦労も大きいが面白い
――現在、藤田さんはCRM統括部の業務と「ORBIS Mr.」のブランドリーダーを兼任しています。具体的にどのような仕事をしているのでしょうか。
CRM統括部では、既存のお客様に対するLTV(ライフタイムバリュー=顧客生涯価値)の最大化、いわゆるオルビスを永く愛用していただくためにお客様の属性に合わせたコミュニケーションをOne to Oneで設計し、ご購入の後押しをする業務をしています。
たとえば、高保湿のスキンケアシリーズをご愛用のお客様に対して、「保湿効果のあるクレンジングにも興味を持っていただけるのでは」と仮説を立てます。そしてお客様の購買データを分析し、クレンジングを購入していない方に向けて商品をご提案するコミュニケーションを取っていくのです。お客様のデータから、お客様自身も気づいていない潜在的なニーズを探ることで、一人ひとりに対しておすすめやお悩みの解決に向けた商品のご提案につなげています。
「ORBIS Mr.」では、TFリーダーとしてブランドを成長させていくために「どのお客様に」「どんな価値提供をするのか」について、メンバーの協力のもと中長期的な戦略を立て、その進捗管理をしながら日々のPDCAを回していくのが私の役割です。
通常オルビスでは、商品企画や販売促進など部門ごとに役割を持ち、連携しながらお客様との関係づくりをしています。一方で、「ORBIS Mr.」はTF内に商品企画やPR戦略も含めた機能があるので、自部署以外のソリューションも活用しながらブランドを創っていきます。そのため、リーダーだけでなくメンバーもブランドの全体感を見ながら日々企画実行できます。TFで得た知見を自部署に活かすこともありますし、兼任のメリットはとても大きいですね。
「ORBIS Mr.」スキンケアアイテム(写真左)、メイクアイテム(写真右)
――それぞれの業務で感じるオルビスらしさや面白さ、やりがいはどういうところにありますか?
以前、コミュニケーション推進グループに対してはデータ分析に特化した「守りの部隊」というイメージを持っていたのですが、実際はお客様とのコミュニケーション戦略を考え、スピーディーに企画の立案から実行・評価までを行う「攻めの部隊」だったのが印象的でした。
オルビスは35年前の創業以来、カタログ通販から始まり、D2Cでお客様に直接商品や価値を提供して成長してきた会社です。お客様の数も非常に多く、直接コミュニケーションを取れる環境もあります。データやインタビューなどを通じて、自分たちの商品がどういう人に使っていただき、何を感じていただいているのか、反応がダイレクトに見られて次の施策に活かすことができる。このお客様との密な関係性こそ、オルビスならではのマーケティングの面白さだと感じています。
お客様視点のコミュニケーションを一貫して実行できる環境は同じですが、「ORBIS Mr.」は、オルビスのアセットを活かしながらも異なったマーケティング手法も求められる点が、苦労でもありやりがいでもあります。
たとえば現在、洗顔・保湿などのスキンケアを日常的に行っている男性は全体の約40%と言われています。そのため、まずは「なぜスキンケアが大切なのか」を理解していただかなくてはなりません。男性のダイレクトメールの開封率が低いことから、私たちは商品と一緒にリーフレットなどを同梱してお届けしています。コストは高くなりますが、商品の魅力やスキンケアの大切さなど、伝えたいことをしっかり伝えるためにあえてこの手法をとっています。
他にも、女性のお客様と比べて生活の中でスキンケアの優先順位が低く、日常的なケアが習慣化されていないことが多いというデータがあって。お客様が無理なくケアを習慣化できるよう、戦略的に定期購入を促すコミュニケーションに変更しました。結果として定期購入を選択くださる方が増えて売上向上につながったのですが、何よりケアを習慣化することで肌の変化を実感できますし、お客様に寄り添って考え抜いた施策を実行できたと思います。
また、私の年次でブランド全体の戦略を考えられる環境は他社ではあまり無いと思っています。年齢や立場関係なく挑戦でき、その挑戦次第で多方面で活躍できる環境があることもオルビスならではですね。
「ORBIS Mr.」は代表の小林の管掌で活動しているTFのため、全体戦略の提案や毎月の実績報告は直接小林に行っています。小林はグループの社内ベンチャーで起ち上げた敏感肌専門D2Cブランドを50億のビジネスに導いてきた経営経験により、D2Cの化粧品マーケティングの知見を豊富に持っているので、フィードバックからの気づきはとても多いです。やりとりの中で経営視点の考え方を学べて視座を高められるので、日々刺激になっています。
自分に自信がないからこそ、日々成長したい
――藤田さんはもともとマーケティング職志望だったのでしょうか。オルビスに入社した動機について教えてください。
業種は限定せず、当時成長市場だと感じていた通販業界を軸に企業を見ていました。昔から自分の「成長」を定量的に感じられることが好きで、就職活動でも「常に成長できる環境」を基準に会社を探していたんです。オルビスは少数精鋭で個々の裁量が大きいとともに、入社選考でも個人面接で学生一人ひとりと向き合う姿勢があり、誠実な会社だと感じる機会が多かった。きっと私の求める「成長」という軸にマッチするのではないかと、入社を決めました。
入社後は店舗事業部でシステム開発、その後は店舗の営業を担当してリブランディング時の出店戦略も担っていました。店舗の仕事にもやりがいを感じていましたが、5年ほど経ち業務がある程度わかってきたタイミングで、次の成長環境を求めるようになったんです。オルビスは通販の歴史が長く、そこに多くの強みや独自のノウハウがある企業です。事業の中心を学びたいと通販事業に関わる部署への異動を希望し、2020年に現在のCRM統括部に異動となりました。
――異動後は「ORBIS Mr.」のTFリーダー抜擢やポーラ・オルビスホールディングスの「グループ優秀賞」など、多くの評価や結果を残していますね。
リーダーをやってみないか、と社内で声をかけてもらったときは正直不安でした。私はあまり自信のあるタイプではなく、以前はそれがコンプレックスでもあったんです。新卒で一緒に入社した同期はとても優秀で、彼らの後にプレゼンをするときは緊張して足が震えるほどで(笑)。 先ほど「成長できる環境を求めている」とお話ししましたが、それは自分に自信がないことの裏返しなんです。自信がないからこそ成長していかないと、と努力を続けてきましたし、積極的に挑戦してきました。現在、MBA取得のために大学院に通っているのも、根底には自信のなさがあります。
――「自信がない」というのは意外です。
少しずつ変化が生まれてきたのも仕事を通してですね。2018年にポーラ・オルビスホールディングスが主催する『未来研究会』(ポーラ・オルビスグループの各社から選抜された若手社員を対象にした、グループ横断の次世代経営人材育成プログラム)に、手を挙げて参加したんです。約1年かけて新規事業提案に取り組むのですが、オルビス以外の多様な社員と関わりを持つことができて、自分を見つめ直すきっかけになりました。 人それぞれに違う個性があって、誰かと同じ成長のロードマップを引かなくてもよいと気がついて。それに「自信のなさ」も裏を返せば他人の意見に耳を傾けられる、ということです。なので、現在のTFリーダーのマネジメントでも、チームをぐいぐい引っ張っていくというより、メンバーの個性や意見を重んじたり、一人ひとりのモチベーションを引き出すことを大切にしています。
TFメンバーとの打ち合わせ
男性も当たり前に化粧品を使う“文化”を作りたい
――これからさらに「ORBIS Mr.」を世に広めていく上で、どんなチャレンジを考えていますか?
現在の課題は、スキンケアアイテム以外の商品購入につながりにくいことです。世の中にはまだ「男性がメイクをするなんて」といった固定概念があると感じますし、「メイクをしていると思われたくない」という男性も多いのではないかと。
ですが、メイクで肌がきれいに見えたり見た目が変化することは、男性・女性を問わずに自分をもっと好きになれるきっかけになると考えています。そもそも「ORBIS Mr.」というブランド名には「世の中のすべての男性に向けたブランド」という願いが込められています。オルビスが掲げる、その人らしい美しさを叶えていく「スマートエイジング®」な世界を実現するために、“男性も当たり前に化粧品を使う”という文化を作っていくことも、私たちの大切なミッションでありチャレンジだと考えています。
また、現在「ORBIS Mr.」のリーダーとしてブランドの事業成長フェーズを経験していますが、いつかは新規事業の立ち上げを経験したいです。ポーラ・オルビスグループでもオルビス社内でも新規事業への挑戦ができる環境が整っているので、自分自身の成長のために前向きにチャレンジしていけたらと思っています。
取材・文:木内アキ
※本記事内容は、公開日(2022年12月20日)時点の情報に基づきます。
Profile
藤田 剛(Fujita Tsuyoshi)
2013年新卒入社。CRM統括部コミュニケーション推進グループ所属。 入社後、店舗部門のシステム開発・運用、直営店の営業担当を経て2020年に現部署に異動。顧客別のOne to One施策を担当する。また、メンズライン「ORBIS Mr.」のタスクフォースリーダーとしても活躍。実績が評価され2021年にはポーラ・オルビスホールディングスのグループ優秀賞を獲得。