オルビスの“柱”、10年ぶりのV字回復。通販を担うCRM統括部の軌跡と挑戦

JOB&CULTURE

こんにちは。採用広報の仁尾です。
オルビスは1987年の創業以来、時代に先んじてお客様に直接商品を届けるD2Cモデルを確立してきました。
通販事業を担うCRM※統括部は、長年ご愛用のファンから新規顧客まで、多様化するニーズの最前線に立ち続けています。しかし事業の柱として、会社から求められる高い目標に対して思うような結果を残せていませんでした。それでも2024年、約10年ぶりとなる予算達成を果たし、V字回復を実現。2025年からは新体制となり、さらなる進化を目指しています。
今回は、2023年からCRM統括部長を務める大村亮平さんに、V字回復の軌跡と、2025年からスタートした新体制への展望について伺いました。
※CRM=顧客満足度を高め、長期的な関係を築くためのマネジメント
通販事業部からCRM統括部に名称変更、その意図は
――最初に、オルビスのCRM統括部がどのような業務を担っているのか教えてください。
私たちCRM統括部は、オルビスの売上の約60%を担う通販事業の売上全般に責任を持っています。主要な業務は「どのようなタイミングで、どのような方法でお客様に価値を伝えるか」という戦略の立案から実行までを一貫して手がけること。具体的には、販促企画やそれをお客様にお伝えする毎月100万部を超えるカタログの制作や、メールマガジン、LINEなど、さまざまなクリエイティブの企画制作を行っています。
お客様に能動的にアプローチすることで、ECサイトに来訪いただいたり、電話をかけていただくきっかけをつくる。いわば、お客様の玄関をノックするのが役割です。

――オルビスのCRMの強みとは、どういう点にあるのでしょうか。
大きく3つあります。1つ目が「多様なタッチポイント」です。直営店のほか、600万ダウンロードを超えるアプリやカタログ(ORBISmagazine)、コールセンターなど、お客様との接点を多数持っている。新規参入の企業では簡単に構築できるものではありません。

左:オルビス公式アプリ 右:カタログ(ORBISmagazine)
2つ目が「充実したスキンケアライン」です。年代やお悩み別に商品を用意しているため、お客様のライフステージやニーズが変化しても、オルビスの中で最適な商品を提案し続けられる。生涯にわたってお客様とお付き合いができるんです。
そして3つ目が「顧客データ」です。35年に及ぶ実績から得られたデータに加えてお客様からいただいた声も蓄積されており、豊富な定量・定性両面でのデータを活用し、戦略の立案につなげられます。
――CRM統括部はかつて「通販事業部」という組織名でしたが、名称変更にはどんな意図があったのでしょう。
これら3つの強みを最大限に活かすには、顧客起点での組織体制が不可欠だからです。オルビスは通販事業から始まり、店舗やECサイトへと事業を拡大してきました。その流れにおいては「通販」「店舗」といった縦割りの組織体制で業務を進めるほうが、各事業を安定的に伸ばすのに適していました。
ですが、近年の市場環境は大きく変化しています。競合の参入増加、デジタルツールの進化に伴うお客様の情報収集の手段の多様化など、以前よりも迅速な意思決定と戦略実行が求められるようになりました。さらにお客様のニーズも複雑化しています。一人ひとりのお客様をより深く理解する必要性が高まっているんです。
そこで、従来の「通販事業部」という事業別・チャネル別の組織から、顧客起点での組織へ転換を図りました。「CRM統括部」という名称は、お客様との関係性構築を最重視する、という私たちの決意が込められています。

リブランディングとコロナ禍、二重の変化を経て
――ここ数年、通販で始まったオルビスの主幹事業が厳しい状況だったと聞きました。大村さんが2018年に当時の通販事業部に異動したときは、どのような状況だったんですか?
以前のオルビスは「総合化粧品通販」で捉えられることが多く、お客様とのコミュニケーションも、まとめ買いのお得感を訴求する方法が主体でした。ですが2018年、社を挙げての構造改革を機に、商品価値を起点としたブランドビジネスへ舵を切ります。必然的に、ポイント発行や値引きといった施策は抑制することになりました。これは単なるマーケティング施策の変更ではなく、企業としての在り方を問い直す大きな決断でしたが、それまで「お得感」を重視して購入されていたお客様にとっては、一種の「サービス改悪」のように映ってしまいました。追い打ちをかけるようにコロナ禍によるマスク着用やステイホームの影響でメイク需要は激減し、通販の業績は相当厳しい状況に陥りました。
――それをどのように乗り越えたのでしょう。
最初に取り組んだのは、顧客構造へのアプローチです。具体的には、新規で獲得したお客様に対する2回目以降の購入の促進と、既存のお客様のLTV(顧客生涯価値)向上の2つの軸を設定しました。
一般的に、D2Cビジネスにおいて初回購入だけでは赤字になります。いかにリピートしてもらうかが重要なのですが、肝となる2回目購入のハードルがものすごく高い。ポイントや値引きでリピーターになってもらうのではなく、ブランド価値で繋がるためにも、オルビスが持つ幅広いチャネルと豊富な顧客データを掛け合わせ、お客様視点でのコミュニケーション施策に取り組みました。結果、オルビス独自のF2転換の勝ち筋が生まれ始めたんです。
そして、LTV(顧客生涯価値)向上のため、新たに力を入れたのが「定期購入サービス」です。データの分析から、4回目の購入をいただくと、ブランドとしての継続率が大きく上昇することがわかっています。そこで、新規のお客様に安心して定期購入を選んでいただけるよう、解約時の手続きに関する説明をより分かりやすい表現にしたり、お客様の不安を解消するような情報提供を充実させたり。細かな工夫や改善をいくつも重ねたところ、現在では通販売上の20%以上を定期購入が占めるまでに成長しました。一般的な化粧品の使用サイクルである3ヶ月に合わせた購入パターンも定着し、安定的な顧客基盤の構築に成功しています。
もう1つの大きな取り組みが、2023年6月頃からのカタログ改革です。コロナ禍でデジタルシフトが進み、多くの企業がカタログなどの紙媒体を縮小する中で、私たちは逆の選択をしました。オルビスの場合、毎月お届けするカタログ(ORBISmagazine)が依然として売上に大きく貢献していたからです。
改革の方針として、お客様に商品の価値がしっかり伝わるような訴求やクリエイティブになっているか、開くことが楽しみになるような特集や連載になっているかをとことん追求しました。デザインも変えて「ブランド価値」を訴求する内容へと変更したことで現在ではクロスセルが増え、LTVの向上まで成果が目に見えるようになり手ごたえを感じています。
「モチベーション×成果」の好循環を生み出す
――CRM統括部の業績が振るわない中で、メンバーの状況はいかがでしたか。
これまで説明したような実績が現れるまでの数年は、目指す方針には共感していても現実が理想に追い付かず、組織として苦しい時期でした。2022年末には、他部門が好調な中で、通販事業だけが10年近く予算未達という状況が続いており、社長から厳しい指摘を受けたこともありました。
メンバーたちに指摘をしっかり受け取ってもらうためには、CRMが担う膨大な売上を「自分ごと化」してもらうことが必要でした。そこで、まずは売上の内訳を明確化して、一人ひとりの仕事が売上にどのように繋がっているかを理解してもらったんです。また、お客様に直接インタビューをしたり、コールセンターのモニタリングやファンミーティングへの参加など、お客様の生の声を聞く機会も積極的に設けました。お客様とお話する中で、自分が企画した施策がどのように捉えられていたのかの気づきも得られます。お客様の解像度が上がるとともに、モチベーションも上がっていきましたね。
同時に、挑戦する“行為”を評価するなど、彼らが積極的にチャレンジできる環境づくりにも注力しました。失敗と改善を繰り返しながら、精度の高い提案が出てくるようになり、好循環が生まれ始めていると実感しましたし、何よりメンバー一人ひとりからオルビスの「未来の売上」をつくっていることへの自負を感じられて嬉しかったです。
――これから力を入れていくミッションはありますか?
オルビスアプリでの顧客体験を強化すると共に、行動データ・ログデータの活用を進めていきます。現在でも、アプリ内でのコンテンツを通じてお客様の潜在的なニーズを把握したり、閲覧履歴から次の購買行動を予測したりしていますが、さらにデータを解析し、お客様一人ひとりの解像度を上げていきたい。最適なコミュニケーションによる価値提供の実現を加速させていくつもりです。

お客様の解像度をさらに上げ、価値を提供していく
――最後に、これから一緒に働く方たちに期待することをお聞かせください。
CRM統括部で最も大切にしているのは、先ほどもお伝えした通り「自分ごと化」する姿勢です。担当する領域だけを見ていては、事業全体の課題は見えてきません。隣のグループで何が起きているのかにも関心を持ち、自分の課題として捉えて解決に取り組む。それがCRMという、お客様との関係づくりを担う部門では特に重要だと考えています。
今年1月に組織再編をして、従来3つに別れていたグループを5グループにしました。組織の細分化は、専門性を高めつつ意思決定と実行スピードを上げるためですが、求職者の中には、各グループの専門性が高まったことで「経験できる領域が狭まるのでは」と不安を抱く方もいるかもしれません。ですが、各グループが専門性を持った上で共創するからこそ、成果を最大化できると思っています。
またオルビスには、部署横断的なメンバーで重要なプロジェクトを担う「タスクフォース」という組織もあります。オルビスの事業の軸であるCRMで培った力を活かし、プロジェクトを一貫して率いる経験をどんどん積んでいって欲しいですね。

「初期育成」と既存顧客のロイヤル化を担当する「One to One」をグループとして分離したほか、成長著しい定期購入に特化した「定期推進」グループも新設しました。
現在、私たちが注力しているのは、お客様の解像度を上げ、より深い理解に基づいたマーケティングを実現することです。数字だけでは見えてこない部分は、インタビューなどを通じて丁寧にすくい上げる。そうした地道な積み重ねが、最終的には売上という形でお客様から返ってくるのだと思います。
まだまだやり切れていないことも、チャレンジしたいことも山積みですし、特にお客様の行動データを活用したマーケティングは、大きな可能性を秘めた領域です。自分で課題を見つけ、解決に向けて主体的に取り組める仲間と一緒に、さらなる成長を目指していきたいですね。
取材・文:木内アキ
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
オルビスでは現在、一緒に働く仲間を募集しています。少しでも興味をお持ちいただいた方は、ぜひこちらからご連絡ください。
皆様のご応募、お待ちしております!
※本記事内容は、公開日(2025年3月28日)時点の情報に基づきます。
Profile
大村 亮平(Omura Ryohei)
2012年新卒入社。人事部での採用・教育・総務担当を経て、2018年に通販営業部(現在のCRM統括部)へ異動。2023年よりCRM統括部部長に就任。